第2回 リスクに備える7文字の原則:東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧(3/3 ページ)
東北地方太平洋沖地震の危機に直面し、これから事業継続・復旧対応を進める企業の一助になればとITmedia エンタープライズ編集部では危機管理の専門家に連載をお願いした。第2回は、平時・危機時における重要な7文字の行動原則をまとめた。
さらに、内部統制は「資産の保全」も目的に挙げている。会計士や財務会計論の学者は、会計上の「資産管理」だけに限定しがちだが、それは大きな間違いだ。企業や組織にとって最も大切な資産は「人」である。そして、そのうえで経営・事業運営に必要な「ヒト・モノ・カネ・情報」を保全することだ。それらを保全し、倫理的にも実利的にも、企業や組織の持続可能な発展を目指すことが重要なのだ(参考文献 実務教育出版「しっかり取り組む内部統制:企業健全化プログラムと実践ノウハウ」)
確かに、ISOの事業継続マネジメントシステム(BCMS)構築は、有意義な面があろう。また、さまざまなリスク管理、危機管理、そしてそれに関連する研修や指導も有意義な面があろう。しかし、もはや「古臭い」「会計士の話は聞き飽きた」と言われそうな内部統制を、改めてリスク管理・危機管理の視点で見つめ直す必要がある。
さまざまなテーマを個別に学んでみても、危機時にはすべての書類を参照することは難しい。山積みの「紙爆弾」のようなISOやコンサルティングは、危機時には役に立たないことが多い。日ごろの心掛けや経営の姿勢・習慣として、残念ながら誤解されてしまっている内部統制の再考が重要だ。
地域社会においても日ごろからのあいさつや声掛けが欠かせない。近ごろでは地域社会のつながりが希薄化しがちだ。危機時にだれが隣に住んでいるかすら分からない状態では、地域のリスク管理力が著しく低いことになる。また、経験豊富な年配の方々が、その知見をなかなか生かせないでいるのも残念だ。家庭や地域でリスク管理の知見を授けるべき人生の諸先輩方が、平時から家族や市民を安全に導く役割を担ってもらいたいと思っている。
次回以降でも引き続き、リスク管理、危機管理、そして復旧のためのポイントを説明していきたい。
お知らせ
日本マネジメント総合研究所では2011年4月末まで、企業規模・団体の規模にかかわらず、災害対策に必要な相談やアドバイスなどの危機管理支援コンサルティングを無償提供することを決定しました。メール、電話、FAX、郵便で受け付け、時間の許す限り対応します。
日本マネジメント総合研究所 理事長・戸村智憲
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プロフィール 戸村智憲(とむらとものり)
日本マネジメント総合研究所理事長。早大卒、米国MBA修了、国連勤務にて国連内部監査業務の専門官などを担当。企業役員として監査統括、人事総務統括、(株)アシスト顧問、JA長野中央会顧問、岡山大学大学院非常勤講師などを歴任する。現在、企業や医療福祉機関、農協などのリスク管理・危機管理を指導している。
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