タンスの肥やしか、たなぼたか――わたしを巻き込むiPad狂想曲:悲しき女子ヘルプデスク物語(3/3 ページ)
新しいiPadが登場した今になって白状します……。去年iPad 2を購入し「たんすの肥やし」にしてしまったことを。でも大丈夫、会社のモバイル導入で、この子にも活躍の場が巡ってきたんだから!
まずは営業マン。iPadやAndroidタブレットを、ちょっとギリギリの方法でビジネスに活用している。そもそも現在の会社の規定では、個人所有のタブレットを会社のネットワークに繋げてはダメ。一方わたしの会社は、会社のメールアドレス宛に来たメールを社外でも見られるよう、ウェブブラウザを用いたウェブメールの仕組みが導入されている。事前申請した人だけだが、ウェブメールを使って社外からメールを参照できるというわけだ。
カンのいい方はもうお分かりだろうが、営業マンの何人かは自前のタブレットからウェブメールにアクセスして、会社のメールをタブレットで見ているというわけだ。ちゃんとノートPCが会社から支給されているのに、どうしてわざわざそんなことをするの? という質問には、単に「ノートPCよりタブレットのほうが軽いから」「カバンの中でかさばらないから」という答えが返ってきた。
プレゼン用のツールとして使っている、という人もいた。タブレットとノートPCをBluetoothで接続し、PowerPointのプレゼン資料をコピーしているのだとか。とはいえ資料のレイアウトを完全に再現できてはいないので、「素直にノート PC を持って行けばいいのに」と言ったら、やっぱり「こっち(タブレット)のほうが軽いんだよね」と言われてしまった。うーん、なんだか無理にでもタブレットを使いたい、という意識が見え隠れするんだけど、気のせいか?
そもそも、個人所有のタブレットに(いくらプレゼン資料とはいえ)会社の資料をコピーしていいのだろうか? BluetoothでPCに接続するってのは盲点だったなあ。後で上司と相談しなきゃ……。
企画推進室のある人は、iPadをPCのセカンドモニターとして使っていた。モバイルルータの無線LAN機能を経由して接続しているのだ。iPad側にもPC側にも専用のアプリを入れておく。PC 側にアプリを入れると、iPad を外部ディスプレイとして認識するためのデバイスドライバがインストールされる。PC は、これで iPad を 2 台目のディスプレイとして認識するわけだ。
接続は無線LANだが、描画はそこそこ速い。動画を再生しない限りは大丈夫そうだ。iPad 2を目的もなく購入したわたしにとっては、意外な使い方かも。その人はノートPCの画面と外付けディスプレイ化した iPad をミラーリングしておき、会議の時に、ノートPCを自分側に向け、iPad を相手のほうに向けて利用しているというのだ。これは面白い! モバイルルータなど無線LAN環境が必須だが、iPadに内部情報をコピーするわけでもないし、実用的な使い方だと言える。ん? でも、この使い方をしている限りは、ノートPCと iPadは同じLAN環境にいるってことだよね。おっと、これはこれでセキュリティ上の問題があるぞ。そうかあ、単に「タブレットを社内PCに繋がない」というだけじゃ、セキュリティ対策としては不十分なのね。
後は、個人的なスケジュールを、Googleカレンダーなどと連携して便利に使っている人もいた。重いスケジュール帳を持ち運ばなくて済むし「その日、あいている?」と聞かれたときに、タブレットやスマートフォンで確認することもできる。そのほか、備忘録としてのメモ帳、動画や静止画の撮影、といった使い方をしている人もいる。そうかあ、可能性は無限大なのね。PCの完全な代わりにはならないけど、コンセプトはPCみたいなものだから、言われてみれば確かにそうだ。
話を社外に移すと、フリーランスとして働いているある友人は、自宅で起動しっぱなしにしているデスクトップPCに、タブレットからリモートデスクトップ接続しているそうな。高速な回線が必要だけど、この使い方だと、インターネットに接続する環境がある限り、タブレットの中でWindowsを使っているような使用感が得られそうだ。彼はそのために、タブレットにBluetooth接続する外付けのキーボードを使っている。単なるファイル共有なら、EvernoteやDropboxという手もある。iPadやタブレットの活躍の場は、それ単体「だけ」ではないのだ。
久しぶりに勉強になった。やっぱり、見聞を広めるって大事よね。わたし個人としての iPad 2の使い方のヒントも得られたし(?)、業務上の問題点も明らかになった。ああ、まずはこの結果を上司に報告するのが先よね。いちおう、業務なんだから!
そんなこんなであっと言う間に時間が過ぎ、退社時間もとっくに過ぎた頃、携帯電話に叔母から電話がかかってきた。なんと、あの機械音痴の叔母が、わたしよりずっと早くにiPad 2を購入していたというのだ! しかも、アプリを使ってダウンロードしたレシピを見ながら料理をするのが、最近の趣味だという。PCと違って場所を取らず、印刷する手間もいらないから便利なんだって。で、電話の目的は、iPad2 で大好きな韓流音楽を買おうとしたものの、iTunes Storeの使い方や iTunesの使い方がいまいち分からないから助けてほしい、というヘルプコールだった。もしかしてわたし、iPadに関しては叔母にも出遅れた?
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