McLarenのレーシングマシンも活用 すべてをインメモリ技術が支える:SAPPHIRE NOW 2012 Orlando Report(2/2 ページ)
2日目を迎えたSAPの年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW 2012」は、共同CEOのスナーベ氏が基調講演に登壇。近未来の世界について語ったほか、先進ユーザーとして英McLaren Groupの取り組みが紹介された。
F1レースを支えるリアルタイムコンピューティング
そうした取り組みを具現化しようとする先進的なユーザーが、F1のレーシングマシンで有名な英McLarenだ。F1レース以外の事業を担うMcLaren Groupでは、モバイルデバイスとクラウド、インメモリ技術を組み合わせて、同社のあらゆるビジネス領域の効率化を実現するために、SAPのソリューションを採用した。
同社の事業は、モータースポーツ向け電子制御システムの開発や製造、自動車用の高機能素材の生産に加えて、F1レースカーのセンサによる生成データを使用するテレメトリーシステム(遠隔監視システム)など、多岐にわたる技術製品やサービスを世に送り出している。「ビッグデータ活用はMcLarenにおいて大きな突破口だった」と、McLarenレーシングチームの元代表で、現在はMcLaren Groupの会長を務めるロン・デニス氏は説明する。
McLarenは、グランプリやテストセッションにおけるすべてのラップで、パフォーマンスに関する大量のデータを生成する。そのデータを迅速に処理して、次のアクションに移すのが求められている。
それに対する具体的な施策について、レーシングマシンなどが発するセンサデータを、HANAを活用してリアルタイムに分析することによって、すぐに修正を行い、危険な事故を回避するようにした。HANAプラットフォームとモバイルアプリケーションを用いて、必要な情報をタイヤチェンジャーから幹部にリアルタイムに伝達するために、同社はすべてのスタッフにユーザー権限を与えているのが特徴である。加えて、事前に設定されたソフトウェアなどからなる早期導入サービス「SAP Rapid Deployment solutions」を活用することで、瞬時に価値を生み出すことが可能になったという。
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