燃え尽き症候群かな と思ったら:人生はサーフィンのように(2/2 ページ)
大きな目標を達成したあとに突然やってくる虚脱感。何もしたくない、やる気がどうしても出てこない……こんなときはどのように過ごせばよいのでしょうか。
やる気が「出てくる」環境を作る
お風呂の浴槽からあふれ出るお湯をイメージしてみましょう。お風呂のお湯が空のときは、無理にあふれさせようとするのではなく、お風呂にお湯を入れることを優先します。
体を休める
大きな舞台やプロジェクトで根を詰めた作業を進めている最中は、緊張感からか多少の疲れもあまり気にならなかったのに、ひと段落つくと疲れが襲ってくることがあります。肉体的な疲れがあってやる気が出ないときは、ペースを少し落として、ゆっくり休養して体力を満たすことで、自然とやる気が出てくることがあります。
心を休める
やる気が出ないのは、心が休みを必要としているサインでもあります。目標を叶えることに一生懸命で、ストイックに頑張ってきた自分をねぎらい、好きなことをすることを許してあげてください。例えば、なかなか手をつけられなかったことをやってみるとか、行ってみたかったところに行ってみるとか。今の自分が好きかどうか、ありのままの自分を許せるかどうかが、心が休まった状態か否かの1つのバロメーターです。
日常やっていることをやる
高橋尚子選手がシドニーオリンピックの翌日にいつも通り練習してみんなに驚かれた、という内容を以前テレビで見ました。高橋選手にとっては走ることが日常のリズムを取り戻す1つの方法だったのではないかと感じています。大きな舞台や大きなプロジェクトは非日常である場合が多いもの。今までの感覚を取り戻すために、時間の使い方や生活リズムを日常に戻すことを意識するのもいい方法です。
今できることを取りあえずやる
目標が無くなってしまったとき、新たな目標がすぐに見えてくればいいのですが、そうもいかず、何から始めたらいいのか分からなくなる場合があります。
私はこのような場合、今できる小さなことを淡々とやることにしています。今の気持ちを毎日ノートに書いたり、読書をしたりするのもいいでしょう。小さなことでも淡々と繰り返していると、「毎日やっている感」「毎日できている感」が出てきます。このような感覚が出てくると、少しずつ前に進んでいるような気持ちがよみがえってくるのです。
「あっ、そうか!」が起きる環境を作る
心の中に「あっ、そうか!」という気付きが起きる環境を作るのもいい方法です。
私は、虚脱感に襲われたときは本を読むことにしています。哲学的な本だったり似たような経験をしている人の本だったりさまざまですが、「そうか、これは自分だけではないのだな」「そうか、これは自分を見つめる機会なんだな」というような、何かしらの「あっ、そうか!」が起きたときに、気持ちが切り替わるきっかけになる場合がよくあります。セミナーや講演などに行ってみるのもいいかもしれません。
あなたのお風呂は空っぽではありませんか。お風呂を何で満たせば心地よいか、満たされるかを考え、お風呂をお湯で満たしてください。
これらの方法を試したからといって、やる気はすぐに出てこないかもしれません。
けれども、やる気がない時期を経験するからこそ、やる気が出てきたときの感覚が分かり、その充実感を味わうことができるのです。やる気が出ないときは、心と体を休めるサイン。十分休養し、心と体が少しずつ満たされれば自然とやる気は出てくると、自分を信頼してください。
成果を出しているスポーツ選手やビジネスマンほど、大きな虚脱感や挫折を経験したときに、新たな自分や可能性に出会っています。
著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)
NPO法人しごとのみらい理事長
1971年生まれ。自動車メーカー、ソフトウエア開発会社を経て、現職。プレッシャーの多い職場で自身が精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。コーチングや心理学の手法を実践しチーム変革に成功。難しいコミュニケーションスキルを誰もが使えるようにした「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。思考法やコミュニケーションをテーマとした研修・セミナー・講演・執筆活動を行う。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。
連載記事「人生はサーフィンのように」をeBook(電子書籍)にまとめた「やる気が出ない本当の理由」を発売。詳細はこちら。
サーフィンのように楽しみながら、人生の波を乗り越えよう。竹内義晴さん執筆人生はサーフィンのようにのバックナンバーはこちら。
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