業務の類似性に着目、マーケティングと金商法対応をTeradataで強化する三菱東京UFJ銀行:Teradata PARTNERS 2012 Report
「Teradata PARTNERS 2012」で現地時間の10月23日朝、三菱東京UFJ銀行が事例セッションを行い、Teradataで営業支援策の立案だけでなく、金融商品取引法対応の監視にも活用している事例を紹介した。
ワシントンD.C.で開催中の「Teradata PARTNERS 2012」は今年で27回目を数え、1979年にガレージで産声を上げたTeradataを四半世紀にわたって支えてきた歴史あるユーザーカンファレンスだ。ユーザーグループによって企画・運営されているため、ベンダーであるTeradataからの技術的な情報のアップデートよりもユーザー企業が培うアナリティクスのノウハウを共有するのが大きな狙い。期間中、330以上のセッションが用意されているが、そのうち125はユーザー企業によるものだ。日本からも三菱東京UFJ銀行とニッセンの2社が選ばれ、その先進事例を紹介している。
会場となっているワシントンD.C.郊外のホテルでは、米国時間の10月23日朝、三菱東京UFJ銀行システム部の高田和輝調査役が登場し、2007年秋に本格施行された金融商品取引法へのシステム対応を中心にTeradataの活用事例を紹介した。
三菱東京UFJ銀行は日本を代表するメガバンクとして、国内767支店、海外74支店を展開、これら支店の営業担当者が利用する顧客情報システムと本部のマーケティング担当者が利用するTeradataシステムの2つが連携しながら個人顧客向け銀行業務の効率化を支援している。
本部のマーケティング部門では、日々の取引データなどを格納したデータウェアハウスから個人顧客向けのマーケティング施策に必要なデータを抽出、8ノードのTeradata 5450サーバで分析し、営業店はもちろん、コールセンター、Web、e-メールといった非対面チャネルを併せたマーケティング施策の立案に役立てており、SASのイベントベースドマーケティングのパッケージも活用しているという。
ご存じのとおり金融商品取引法の狙いは、利用者の保護と透明で公正な市場づくりだが、金融商品を販売する支店の営業担当者をはじめ、金融機関には大きな負担を強いることになった。三菱東京UFJ銀行では、取引データの分析から取引の適法性を監視し、疑わしい取引には本部から支店へ販売経緯を確認するシステムを構築することになった。
「個別のシステムを増やさないという観点から、マーケティングとモニタリングという2つの業務の類似性に着目した。どちらもタイムリーな対応が求められ、非定型のクエリが主体だ。日々の取引をトリガーにした“イベントとアラート”であり、本部から支店へ、そして支店から本部へ、という業務フローも似ていたため、既存のTeradataシステムと支店向けの顧客情報システムを拡張することにした」と高田氏。
支店向けの顧客情報システムには、相談シート機能、適法性チェック機能、顧客とのやり取りを記録する面談・交渉記録機能などを実装、本部のTeradataシステムで疑わしいと判定された取引の営業担当者は、これらのデータを基にその販売経緯を手間を掛けずに回答できるようにした。
三菱東京UFJ銀行では今後、本部のマーケティング担当者が利用するTeradataシステムのバージョンアップも検討しているという。
「地理空間データ分析やSASを高速化するインデータベース分析、あるいは取引履歴を扱いやすくするテンポラル分析など、Teradataの最新版で強化された各種の機能を活用し、より営業店支援に役立つシステムを提供できるようにしていきたい」と高田氏は話す。
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