「Wintel時代は終わった」とSFDCベニオフ氏 都内で「カスタマー革命」を披露
Cloudforce Japanの基調講演に立った米Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOは「われわれは10年も前からクラウド革命を予見していた」と主張。「Wintel時代はもう終わり」と話す。
セールスフォース・ドットコムは12月6日、都内で「Cloudforce Japan」を開催。米国からマーク・ベニオフCEOも来日し、基調講演に立った。
ベニオフ氏は聴衆に対し、IBMによる調査、Global CEO Study 2012の一節を紹介する。それは“今、急激かつ根本的な変化が起こりつつある。クラウド、モバイル、ソーシャルという潮流が一体となって顧客、社員、パートナーをまったく新しい形で結び付け始めた”というものだ。
ベニオフ氏はこの話に同意しながらも「これはわたしが10年前から言い続けてきたことだ」と胸をそらす。「わたしが今考えているのは、モバイル革命やソーシャル革命の先にある“カスタマー革命”だ。それはわれわれの顧客自身が、その顧客とまったく新しい形でつながるということだ」
ベニオフ氏のキャリアはエンジニアから始まったという。「AtariやApple II、Amigaなどを使ってきたが、時代が変わるとシェアも変わった」と振り返る。「そして今、Winel(Windows OSとIntelプロセッサによるコンピューティング)によるイノベーションは終演を迎え、新しい時代が始まろうとしている」とベニオフ氏は話す。
ベニオフ氏は他にもいくつかの「革命」を紹介する。まずは「タッチ革命」だ。「今やコンピューティングの主流はタッチ操作であり、キーボードやマウスによるオペレーションはもう古い」とベニオフ氏。「タッチ時代のOSが複数登場し、Windowsですらタッチ操作になった」
「ローカル革命」もあるという。「人々がスマートフォンやタブレットを利用することで、電車の中でも家庭でも職場でも位置情報が得られる」(ベニオフ氏)。これらいくつかの革命を総合することでもたらされるのが、前述のカスタマー革命なのだという。
カスタマー革命によって企業は、顧客とより親密な関係を結べる。「しかし」とベニオフ氏は問いかける。「皆さんの会社はカスタマーカンパニーになっているだろうか? 顧客とつながっているだろうか?」
ベニオフ氏は、88%もの経営者が「顧客とより親密な関係を構築すること」を優先事項として挙げている、という(IBMによる)調査結果を紹介する。「どんな偉大な企業でも、経営者の悩みは同じということだ。企業にとって今後10年間のトピックは、規模の大小を問わず、本当の意味でのカスタマーカンパニーになるということだ」
「Dellはテキサスのオフィスにソーシャルメディアコマンドセンターを設け、顧客の動向をモニタリングしている。ペプシコーラも同様だ。われわれはプロダクト、社員、パートナー、顧客をつなぎ、さらにその先の顧客とまで関係構築できるマーケティングプラットフォームを提供する」(ベニオフ氏)
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