クラウド環境の運用管理を自動化するソフトウェアを発表 日本IBM
OpenStackなどのオープンテクノロジーを採用したクラウド運用管理ソフトウェアを日本IBMが発表した。
日本IBMは5月22日、エンタープライズ向けオープンクラウド環境の構築と管理を自動化するソフトウェア製品「IBM SmarterCloud Orchestrator」を発表した。
新製品は、仮想マシンやネットワークなどから成るIaaSの管理にオープンソースソフトウェア「OpenStack」のテクノロジーを採用したほか、その上位レイヤーであるアプリケーション基盤(PaaS)は標準規格の1つである「OASIS TOSCA」に準拠した。これらにより、柔軟なクラウド環境の構築、管理が可能になるほか、クラウド上で稼働するアプリケーションの可搬性を確保し、プライベートクラウドやパブリッククラウドといった各種クラウド間の連携や移行が容易になった。
また、クラウド環境の構築や管理を自動化するオーケストレーション機能をより簡単に活用するためのセルフサービスポータルを提供する。ポータル画面上で必要なリソース、ワークロード、サービスなど資源要素のイメージアイコンを組み合わせる直感的な作業のみで、構成の作成や利用の準備、設定(プロビジョニング)などの作業を自動的に行う。クラウド基盤の資源管理に必要な承認ワークフローも、ポータル画面からアイコン化された必要な要素を組み合わせる作業のみで作成、自動化できるという。
作成したクラウドの構成や設定の情報は、セルフサービスポータル上でIaaS部分の情報群である仮想イメージ、PaaS部分の情報群である仮想パターンとしてカタログ化し、管理できる。仮想イメージおよびパターンは、単体および複数を組み合わせた自動化パッケージとして展開することで、ほかのクラウドと共有可能だ。パターンは、同社の「マーケット・プレイス・ポータル・サイト」で、IBMやビジネスパートナー、他のユーザー企業のベストプラクティスを共有できる。
同日に開かれた記者説明会で、日本IBM ソフトウェア事業 クラウド&スマーター・インフラストラクチャー事業部長の高瀬正子氏は、「これまでのクラウド環境構築や運用において、管理ツールが連携していない、ワークロードが最適化されていない、イベントトリガーによる手続きに人手が必要、異なるクラウド環境の連携が難しいなど、さまざまな問題点があった。新製品はこれらを解決するものだ」と意気込んだ。
新製品は、通常版と、クラウド環境のパフォーマンスを監視しキャパシティプランの作成を支援するクラウドモニタリング機能や、細かなレベルで課金サービスを実現するクラウドメータリング機能を追加したエンタープライズ版を用意する。価格は通常版が1コア当たり8万6835円(税込)、エンタープライズ版が16万4115円(同)。
また、説明会の中で、同社のシステム運用管理製品のブランドであった「Tivoli」という名称を5月にグローバルで「Cloud&Smarter Infrastructure」に刷新したことを発表。高瀬氏は「SmarterCloud、(ビジネス影響分析ソフトの)Netcool、(資産管理ソフトの)Maximo、(不動産管理ソフトの)TRIRIGAなどソリューションは多岐にわたり、システム運用管理だけにとどまらなくなった。今後はITとビジネスにインフラ視点で貢献していく」と説明した。
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