成田空港の旅客サービスを変えたiPad導入の舞台裏:導入事例(3/3 ページ)
成田空港はターミナル内のスタッフにiPadを携行させ、旅客向けの各種案内サービスを強化したという。その取り組みの全貌に迫る。
旅客向けに案内アプリを展開、データ分析でサービス向上へ
成田空港は自社でiPadを活用するだけでなく、旅客向けモバイルサービスにも積極的に取り組んでいる。今年11月には、NTTドコモと共同開発した音声エージェントアプリ「成田コンシェル NariCo powered by しゃべってコンシェル」(現在Android版のみ、iOS版も提供予定)を公開。成田空港について旅客が知りたい情報を、旅客自身がアプリに話しかけることでダイレクトに照会できるようにした。
同アプリはWebサイトのメニューのように項目を選択する必要がないため、幅広い年代のユーザーが簡単に操作できるほか、インフォメーションスタッフの業務を補完することにもなる。さらに、空港のサービスを強化する側面も持つという。アプリの開発に携わった成田国際空港の窪田裕毅さん(経営企画部門IT推進部 情報企画グループ)によれば、将来的には旅客がアプリ内で発した音声を収集して分析することで、成田空港が提供するあらゆるサービスにリアルな“旅客の声”を生かしていく方針という。
「実際のお客様の問い合わせは、Webサイトでは拾いきれないようなあいまいなものも少なくありません。成田コンシェルでは、そうした複雑なニーズを音声という形で収集して分析することで、スタッフの案内業務向上にもつなげていきたいと考えています」(窪田さん)
現在、航空会社が路線や便数を自由に決められる航空自由化(オープンスカイ)や格安航空会社(LCC)の台頭により、空港各社を取り巻く環境の変化は激しさを増している。成田空港はモバイル端末の活用によって顧客満足度を向上させ、顧客と航空会社それぞれに「選ばれる空港」を目指していく。
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