創業210年のミツカングループがiPadを本格導入した理由(3/3 ページ)
「味ぽん」などで知られる食品大手のミツカングループは、早期からモバイル端末の業務活用に取り組んできた先進企業でもある。そんな同社が進めているタブレット活用プロジェクトの全貌とは――。
経営職は「脱PC」ワークスタイルも可能に
iPadの導入効果は、承認フローの迅速化といった数字上の成果だけでなく、利用者の実感としても表れているようだ。「経営職の一部からは『もうノートPCは持ち歩かなくなった』といった声も受けている。今後、経営職は『脱PC』の働き方も実現できる可能性もある」と桝田課長は話す。実際、これまで休日などに職場のノートPCを自宅に持ち帰っていた人も、今ではiPadだけで事足りるようになったという。
一方、現場の社員には今後もタブレット端末を導入しない方針だ。「経営職の仕事は社員が作ったプロセスなどを最終チェックして承認することが主なので、PCの物理キーボードが必要になるシーンはさほど多くない。一方、現場の社員は日常業務の中でキーボードを使う場面が多く、タブレットだけで完結する業務は少ないと仮説を立てている」と坂本さんは説明する。
ミツカンから「Mizkan」へ iPad活用でグローバル化を支援
同社は一連のiPad導入と並行し、離れた拠点間でリアルタイム会議を行うためのテレビ会議システムの整備も進めている。今後はテレビ会議時における資料共有にもiPadを活用していく考えだ。
「会議資料を紙で共有する場合、使い終わった紙からの情報漏えいリスクがあった。iPadの画面で資料を共有し、会議終了後にデータを消去する方式を採れば、セキュリティ対策の強化につながる」と桝田課長。さらに、iPadなら会議資料を必要に応じて拡大表示したりできるほか、印刷にかかっていた業務時間も削減できると見込んでいる。
ミツカングループは今年3月に新たなグループ本社となる「Mizkan Holdings」を設立するほか、グループ企業の社名も英語表記に変更し、グローバル展開を加速させていく方針。同社は今後もiPadの活用で経営のスピードアップやテレビ会議の効率化を図り、グローバルビジネスの強化にはずみをつけていく考えだ。
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