みずほクラウドの挑戦 ── 知恵と工夫で経営に貢献:IBM Infrastructure Matters 2014 Report
日本IBMは「IBM Infrastructure Matters 2014」を開催し、同社のクラウドが実現する、迅速かつ高効率のITインフラこそが、企業に競争優位と成長をもたらすとし、その事例としてみずほ銀行の取り組みを紹介した。
5月28日、日本アイ・ビー・エムは都内のホテルで「IBM Infrastructure Matters 2014」カンファレンスを開催し、Power8プロセッサや同社のクラウドが実現する、迅速かつ高効率のITインフラこそが、企業に競争優位と成長をもたらすとし、その事例としてみずほ銀行の取り組みを紹介した。
同社は先ごろ、このカンファレンスと同名の調査レポート「IT Infrastructure Matters(ITインフラの重要性)」を公表、70%の企業がITインフラの重要性を認識しながらも、SMAC(ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド)といった新しいテクノロジートレンドに自社のITインフラが対応できていると考えている企業は10%に満たない実情が浮き彫りになっている。
ホスト役として挨拶に立ったマーティン・イェッター社長は、「データは重要な経営資源として競争優位の源泉であり、クラウドは新しいビジネスモデルを創出する。また、セキュアなソーシャルとモバイルが顧客や社員とのエンゲージメントを変革しようとしている。これら市場のトレンドは、企業が取り組むべき戦略的な優先事項でもある」と話す。
キーノートスピーカーとして来日したPower Systems担当のダグ・バログGMも、「データは増え続けるが、省スペース/省電力が求められ、しかもユーザーのニーズは絶えず変化する。これらITインフラのチャレンジから企業は決して逃れることができない」とし、ビッグデータのためにデザインされ、クラウドの経済性をさらに高めるPower8プロセッサを売り込んだ。
Powerプロセッサは、常に半導体のイノベーションをリードしてきたIBMラボから生まれた。プロセッサ単体の性能や信頼性を追求する一方、その圧倒的な性能を効率良く生かすべく、同社がメインフレームで培った仮想化技術も盛り込んだ。次世代のPower8プロセッサでは、膨大な計算に求められるメモリバンド幅やI/Oバンド幅を従来比2倍以上に強化し、バログ氏は「ビッグデータのためにデザインされた業界初のプロセッサ」と胸を張る。6月中旬に出荷が始まるPower8搭載の「Power Systems Sクラス」では、最新のx86サーバと比べ、約50倍という圧倒的なスピードでデータ分析できるという。
早く安い! コスト6割削減を経営に約束
バログ氏は、Powerプロセッサを活用してプライベートクラウドの経済性を追求するみずほ銀行をステージに招き上げた。
みずほ銀行では、それまでシステムごとに個別に構築してきたITインフラを2009年から仮想化技術の導入してクラウド環境に集約、さらに標準化、そして自動化へと段階的に改善を進め、ITインフラ構築の迅速化(最短3日)とコストの6割削減を実現する。
同行でIT・システム統括第一部長を務める加藤昌彦氏は、「仮想化技術が脚光を浴びているが、それ単独の効果は限られている。設計の標準化こそが早くて安いITインフラ提供に欠かせない」と6年に及ぶ「みずほクラウド」の取り組みを振り返る。
先に触れたIT Infrastructure Mattersの調査レポートでは、ITインフラの戦略的なロードマップを策定している企業は、わずか22%にとどまっている。
新しいテクノロジーが次々と登場する中、それを深く理解する情報システム部門には、ビジネスへの貢献が強く求められているが、「ITインフラのコスト圧縮は、情報システム部門の知恵と工夫で経営に貢献できる分野だ」と加藤氏は話す。
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