データ処理を1000倍以上も高速化、インメモリDBを発売 日本オラクル
日本オラクルは、データベース製品のオプション機能「Oracle Database In-Memory」を国内で提供開始した。
日本オラクルは7月23日、データベース製品「Oracle Database 12c」のオプションとなるインメモリ機能「Oracle Database In-Memory」を国内で提供開始した。価格は1CPU当たり250万円から。(関連記事:インメモリDBに本腰 エリソンCEOが取り組み語る)
Oracle Database In-Memoryは、(1)リアルタイム分析、(2)高速OLTP(オンライントランザクション処理)、(3)容易な導入、という3つの特徴を持つ。(1)、(2)に関しては、ロー(行)型とカラム(列)型のデータ処理を最適に組み合わせるアーキテクチャによって、分析、データウェアハウス(DWH)、レポート生成におけるデータベースの処理性能を向上させるとともに、複雑な混合ワークロードデータベースに対するトランザクション処理を高速化する。(3)については、既存アプリケーションとの完全な互換性を実現することで、特別な設定変更などなくすぐに利用できる。
どのくらいデータ処理の高速化が図れるのか。Oracleが実施した業務アプリケーションの性能テストにおいて、ERPパッケージ製品「Oracle E-Business Suite」では257倍高速化し、例えば、19億行のコストデータ、1380万件の品目、14レベルのBOM(部品表)の処理に従来58時間かかっていたのを13.5分に短縮した。また、中堅・中小企業向けERP製品「Oracle JD Edwards」では1700倍高速になり、1億400万行の受注データの処理を22.5分から1秒未満に短縮した。
同日に開かれた記者向け説明会の中で、日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏は「多くの顧客はデータを価値に変えるために処理スピードを上げることを望んでいる。それを可能にするのがOracle Database In-Memoryである。これはまさにスーパーコンピュータ級の超並列インメモリデータ処理を実現するものだ」と力を込める。
三澤氏はまた、Oracle Database In-MemoryによるOLTPとDWHの完全な融合によって、処理が遅い、価格が高いといった理由から、中小規模のDWHは今後なくなるのではないかとの見通しを示した。
日本市場での展開について、日本オラクルでは2014年末までに1000人のインメモリデータベースエキスパートを育成するほか、既存顧客およびISVに対して無償でインメモリアセスメントサービスを実施する。加えて、パートナー各社によるインメモリ・コンピテンシ―センターの設立によって、インメモリ技術などを積極的に推進していく考えだ。
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