茨城大学が「コンテナ型データセンター」を選んだ理由:サーバ室が被災、復旧まで1カ月かかった(1/2 ページ)
企業だけではなく、大学でも注目が高まるBCP。茨城大学が10月から日立のコンテナ型データセンターの運用を始めた。まだまだ実例が少ない、コンテナ型センターを同大学が選んだのはなぜなのか。
震災で全システムが停止、復旧まで1カ月
東日本大震災以降、企業の災害対策、中でもBCP(事業継続性)に注目が集まっているが、大学でも情報システム基盤を見直す動きが広まっている。
茨城大学は、日立製作所が提供する屋外設置式のコンテナ型データセンターを導入し、2014年10月からプライベートクラウド基盤として運用を開始したと発表した。学生や教職員が利用するメールシステムなど、校務用システムのサーバをはじめとする機器を移設したという。
茨城大学はこれまで、サーバを校舎内のサーバ室に設置して管理していたが、2011年の東日本大震災で校舎が停電し、全システムが停止。約5日間にわたって受験生や学生への情報発信や、教職員間の連絡の手段が途絶えるなど、業務が止まってしまった。
システムの本格的な復旧までには1カ月かかったという。空調システムが破損した上、サーバ室を8階建て校舎の地下に配置していたため、校舎の安全性を確認するのに時間がかかったためだ。同大学のIT基盤センターでセンター長を務める鎌田賢教授は「震災後に、頑丈な低い建造物でサーバ室を運用していたという東北大学の事例を聞き、『これではいけない』と思い、新たな運用方法を探し始めた」と話す。
それから約1年、基幹システムのクラウド移行などを検討していたが、ちょうど文部科学省から震災復興関連事業として予算が付くことになり、BCPの強化に向けて非常用発電機や太陽光発電といった機材とともに、コンテナ型データセンターの導入に踏み切った。とはいえ、システムのクラウド移行にはさまざまなカベがあったという。
「大学には研究データなど、クラウドで運用するにはリスクが高い情報もある。また、サポートを付けると意外と高額になってしまったり、決済方法が導入のネックになったりすることもあった。システムのクラウド移行というだけでは予算が下りにくいので、何か“モノ”を作る必要があった、という事情もある」(鎌田教授)
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