茨城大学が「コンテナ型データセンター」を選んだ理由:サーバ室が被災、復旧まで1カ月かかった(2/2 ページ)
企業だけではなく、大学でも注目が高まるBCP。茨城大学が10月から日立のコンテナ型データセンターの運用を始めた。まだまだ実例が少ない、コンテナ型センターを同大学が選んだのはなぜなのか。
工事は約3カ月、自家発電設備でBCPを強化
コンテナ型データセンターは、増築しやすい設計であるほか、建築基準法の建築確認申請が不要であるため、専用の建造物を作成するのに比べて構築期間が短いというメリットがある。茨城大学は今回、サイズやレイアウトを柔軟に設計できる「フレキシブルデザインコンテナ」をキャンパス内に設置した。工事期間は2014年3月から6月までの約3カ月半。サーバの稼働まで半年程度で行ったことになる。
建造物に比べて、耐震や防災に不安が残ると言われがちなコンテナ型だが、フレキシブルデザインコンテナは、東日本大震災と同規模の地震が発生した場合でも、内部の機器やシステムに影響が出ない耐震性能を実現しているという。さらに、校舎とは独立したコンテナ型データセンター用の自家発電設備を設置することで、BCPを強化した。
技術としては数年前から注目されてきたが、国内におけるコンテナ型データセンターの導入事例はまだ少ない。鎌田教授は、導入には若干の不安があったとしつつも「奈良先端科学技術大学院大学の事例など、他大学の事例も参考にした。公開入札で日立が選ばれたが、文教市場への導入事例が多く、サポートも含めて信頼性は高い」と強調した。
また、日立の空調環境コンサルティングサービス「AirAssist」を活用し、サーバや空調機のレイアウトを最適化したことで、PUE値(Power Usage Effectiveness:データセンターやサーバ室のエネルギー効率を示す指標。1に近づくほどエネルギー効率が高い)が約1.29となるなど、運用面のコストも下がるという。
同大学では今後、各部署で管理しているシステム群をコンテナ型データセンターに移行する予定だ。「各システムの交換のタイミングで、コンテナにシステムを移すという予定で進んでいる。もちろん、リスクが低い情報ならばパブリッククラウドに出すことも検討する。ここはお金と安全性のバランス」と、鎌田教授は継続してBCPの強化に取り組む姿勢をアピールした。
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