民間企業における「マイナンバー」対応の具体的な内容と注意点(後編):マイナンバー・企業の対応と注意点(3/3 ページ)
2015年10月から「番号制度(マイナンバー)」が始まります。最終回となる今回は、一般的な民間企業における「個人番号を取り扱う対象事務の運用整理」について解説します。
個人番号を取り扱う対象事務に係るシステムの改修
個人番号関係事務を情報システムで処理している民間企業では、情報システムの改修(例えば、個人番号の入力機能等)が必要になります。対象システムとしては、人事給与システム、社会保険関連システム、支払調書作成システム等が想定されます。
また、個人番号の追加に伴い、様式変更への対応が必要です。例えば、給与所得の源泉徴収票の新様式(図2参照)については、2014年7月9日に「所得税法施行規則の一部を改正する省令(財務省令第53号)」で公布されています。
源泉徴収票の新様式では、従業員の個人番号欄が追加されたことに加え、扶養控除配偶者及び控除対象扶養親族の氏名、個人番号の記載欄が追加されています。また、用紙サイズA6からA5に変更されています。
これら帳票の見直しを含めたシステムの改修については、対象システムの担当ベンダーと協議しながら、具体的な検討を進める必要があります。民間企業向けに番号制度対応の予定を発表しているシステムベンダーも見受けられますので、まずは一度担当ベンダーに問合わせてみるのが良いでしょう。
個人番号を取り扱う従業員に対する研修、周知
最後に、番号制度に限らず、新たな制度の運用開始時に共通する対応ですが、新運用に即した各種マニュアルの更新が必要です。
なお、業務・システム面の変更のみならず、個人情報保護に関わる規定等についても見直しが必要となる可能性があります。なぜなら前述したように特定個人情報については、通常の個人情報以上に取り扱いに制限が発生するからです。
このような業務や制度の変化については、個人番号を取り扱う従業員に対して、研修を実施することは当然必要ですが、加えて個人番号の取得対象者である「従業員全員」に対して、扶養家族分も含めて個人番号を提示してもらう必要がある旨を、早めに周知しておくことが重要です。
まずはできることから着手を
これまでに示した民間企業が番号利用の開始(2016年1月)までに実施すべき事項と残りの期間(約1年3カ月)を踏まえると、早期に着手することが、より確実に番号制度対応の準備を完了させるうえで重要です。まだ国で方針を検討中の事項等が残されているものの、まずはできることから作業を開始し、最新の情報を収集しながら、対応していくことが望まれます。
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