日立が見出した、イベント会場での「ヒトの行動パターン」とは?:ビッグデータで集客アップ(1/3 ページ)
人の行動を分析してビジネスに生かす――。Web上では盛んに行われてきたことだが、最近では現実世界での行動を分析する動きも進んでいる。日立がイベント会場内の人の動きを分析したところ、意外な結果が出たという。それは……。
今やWeb上で自分がどのように行動したか、といったデータは簡単に把握される時代になった。大量のアクセスログから自分の行動パターンが分析され、広告や商品を“オススメ”された――そんな経験がある人は多いだろう。このビッグデータ時代、人間の行動分析が多くのビジネスチャンスを生んでいるのは言うまでもない。
現実世界でも同じことが言える。例えばスーパーマーケットやコンビニ。買い物客が店内を回遊する動きを想定し、売り場の構成を考えている。アメリカでは、店内に設置した防犯カメラで客の動きを把握し、マーケティングに生かす動きもあるそうだ。
こうした人の動きをデータ化できれば、新しい気付きや価値が生まれるのではないか――。日立製作所が今、そんな技術開発に挑戦している。同社のプロジェクトチームが、2013年に行われたプライベートイベント「Hitachi Innovation Forum 2013」で、イベント来場者の動きのデータ化したところ、意外な結果が出て驚いたという。
センサーで人の動きを“見える化”
人の動きをどうデータ化するか。同社は会場内(東京国際フォーラム)に13台のセンサーを設置し、センサーが発する不可視光で、すべての来場者が会場内のどの位置にいるかを測定。0.25秒ごとに測定したデータを補間してできた動画は、会場内の人の流れが一目で分かるものに仕上がった。
来場者の位置データを利用し、このほかに時間ごとに区切った混雑具合、各ブースの集客度(人数×滞在時間で計算)といった分析も行った。
「混雑度を可視化することで、混雑している場所だけ空調を強くするといった、コストダウンにつながる施策ができるようになります。ほかにも、人の移動速度が落ちた地点を集計することで、どのブースに来場者が興味を持ったかという“関心度”のようなものも分析できました」(日立製作所 先端ビジネス開発センタ 野宮正嗣氏)
これらの分析結果を通じて、会場設計の意図、つまり日立側が見込んでいた来場者の動きと、実際の来場者の動きが異なっていたことが分かったという。
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