商用版OpenStackを製品化──HPは、なぜオープンソースを推進するのか:年間利用権12万9000円から(2/2 ページ)
ポイントは「楽、安心、リーズナブル、イノベーション」。日本HPがクラウド事業の基幹ブランド「HP Helion」を軸にしたオープンソースのクラウド基盤「商用版OpenStack」を発売、合わせてプロフェッショナルサービス部門を新設した。企業の“オープンソース”でのクラウド活用を推進する。
OpenStack導入・運用のための強力なバックアップ体制も新設
日本HPは、OpenStackを強力に推進する姿勢とともに、OpenStackクラウドソリューションを導入する企業・組織に対する強力なバックアップ体制も整える。「HP Helion OpenStack Professional Services」とともに、アジア大洋州(APJ)組織を発足した。
HP Helion OpenStack Professional Servicesは、技術サポート以外に、OpenStackによるクラウド基盤の企画、検証、導入から、サービスの立ち上げと運用まで、HPが抱えるOpenStackのエキスパートエンジニアが強力に支援するサポートプログラムとなる。検討段階で現システムの棚卸し、OpenStackを用いた運用検討や試算(アセスメント)と個別の検証支援を、導入面ではOpenStackを前提に顧客環境に最適化したクラウド設計、構築、OpenStack環境への移行支援を、運用面ではオープンなテクノロジで構築するオブジェクトストレージ環境の構築、バックアップ、ファイル共有環境の構築までを支援する。
「なぜ、このサービスが重要か。OpenStackは“大きなイノベーション”だ。OpenStackがIT全般に関して大きな改革をもたらすからこそ、いろいろな形で顧客、IT業界、そしてさまざまなベンダーも関心を高めている」(日本HP 執行役員テクノロジーコンサルティング事業統括兼APJ OpenStack Professional Servicesディレクターの有安健二氏)
そもそも何がイノベーションか。OpenStackによって、コンピュータのソフトウェアアーキテクチャが大きく変わりつつあるからだと有安氏。OpenStackはさまざまプロジェクトが走っており、急速に機能拡張がなされている。単なるOSの領域だけでなく、ネットワークの領域もカバーしつつあり、データ管理やHadoopを含むデータ管理のための機能拡張もあり、デスクトップ仮想化(VDI)領域も、セキュリティの分野もカバーする。つまり、ミドルウェアと呼んでいた領域がOpenStackによって置き換えられようしている。
OpenStackは現時点、主にクラウドを中心とした大規模システムのためのコアソフトウェアとして使われている。OpenStack関連のエンジニアがまだ少ない事情とともに、管理者は「いかに運用管理を効率化するか」を課題に抱える。例えば、大規模な運用管理体制をどう構築するか、全世界の各地で展開するデータセンターをあたかも1つのような形で統合するためのシステムをどうやって作り上げるのか──など。OpenStackは、OPEX(運営費)、CAPEX(設備投資費)を限りなく低くできる可能性がある。そんな大規模な課題解決をHPが支援してくれるということになる。
- ベンダーロックインを外したい
- グローバルにパブリッククラウドのデータセンターを構築するため、アプリケーションの可搬性(APIを含めたアプリケーションの標準化)が重要
と考える大規模システムを構築する顧客に強く提案する。
「最終的には、IT業界そのものの変革ももたらすと信じている。昨今はOpenStackのキーワードで、ITベンダーが製品を発表するだけでなくM&Aもいろいろな形で進んでいる。OpenStack、オープンソースという切り口でIT業界のイノベーションも進みつつある」(日本HPの有安氏)
一方、オープンソースに不安がある顧客もいる。
- バグがあったらどうするのか
- ビジネスユースには、サポートがないと不安でたまらない
- セキュリティは担保できるのか
などだ。この解決策として、商用版HP Helion OpenStackと具体的なサポートプログラムであるHP Helion OpenStack Professional Servicesを用意したことになる。
想定顧客は、大規模なクラウドシステム、かつデータセンターを全世界に何カ所も抱える企業や組織。このほか、アジアの新興国。例えばフィリピン、ベトナム、スリランカなどで需要が高まっているという。OpenStackは、今運用するメインフレームやUNIXシステムからの乗り換えが必要になり、既存システムに対する準備期間が必要。一方、新興国はOpenStackで白紙から構築する顧客が多い。全世界でサポート組織を発足させた理由の1つに、この対応を推進することもあるようだ。
「OpenStackはあるベンダーだけがつくるものではない。エコシステムの構築が重要。ファウンデーションも含めた、業界全体のコミュニティを誰が維持してくれるのか──ここをHPがしっかり担うことを約束する。HPはAPJで数十人の規模のOpenStackエンジニアを抱え、さらに常時採用している段階だが、まだ絶対数は少ない。2015年末までに全世界で数百人の規模にする」(日本HPの有安氏)
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