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三井住友建設におけるERPとVDIのボトルネック解消までの道のり

通信環境の厳しい建設現場での業務システム利用を改善すべく、同社では2011年から様々な取り組みを重ねてきた。

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 建設大手の三井住友建設は、仮想デスクトップによる業務システム利用を円滑にするための取り組みを2011年から進め、このほど導入したストレージシステムによって“ボトルネック”を解消したという。

 同社では2010年4月に会計システムをERPに移行、これに合わせて損益管理システムもスタンドアロン型からクライアント・サーバ型に変更され、推奨回線が光ファイバになった。同社は全国に多数の建設作業現場を抱えており、多い時期には約450カ所になる。建設作業現場からもシステムを利用している。

 だが、光回線を敷設できる建設作業現場は半分程度しかなく、建設期間が1年未満の現場では回線を敷設できないことも。トンネル工事の現場でISDN回線の引き込みができないケースもある。こうした通信環境が極めて厳しい現場では工事に必要な見積書を作成するだけで1時間もかかってしまい、業務に支障をきたす事態になっていたという。

 そこで、2011年にデスクトップ仮想化の導入を検討。業務データの処理を建設作業現場で行わないようにすることで業務効率の改善を目指した。この時のシステム構成は、既存のファイルストレージを仮想デスクトップシステムと共有する形にしており、2012年6月から段階的に導入を進めていった。


当初の仮想デスクトップシステムの構成(Pure Storage日本法人の資料)

 すると、仮想デスクトップが100台を超えるようになった頃からデスクトップやブラウザの起動時間が遅くなったり、Windowsのアップデートに1時間、再起動に30分間もかかったりする事態が発生した。この間は業務ができず、再び支障をきたすようになってしまったという。原因を調査した結果、ファイルストレージを共有していることがボトルネックになっていると判明。仮想デスクトップシステムへ専用のストレージを導入することで、この問題を解決することを目指した。

 今回、同社が採用したのは米Pure Storageのオールフラッシュストレージアレイ「FA-420」。既存のファイルストレージの後継機にSSDをキャッシュで使う方法や、SSDとディスクのハイブリッド構成なども検討したが、価格面などを含めてオールフラッシュストレージアレイを選択したという。同社の選定では東京エレクトロン デバイスが製品の提案、検証支援などを行った。


専用ストレージ化後のシステム構成(同)

 専用ストレージの導入によって仮想デスクトップクライアントでのブラウザの起動時間が1分程度から数秒に短縮され、デスクトップの再起動時間も30分から2分程度へ大幅に短くなった。Windowsアップデートが完了するまでの時間も1時間から15分になり、業務効率の改善を再び図ることができた。

 なお、同社では併せて仮想デスクトップシステムをバージョンアップさせる。スマートフォンやタブレット端末などからも社内システムを利用できるようHTMLベースの変更するほか、BYOD(個人端末の業務利用)への活用も検討しているとのことだ。

 今回の事例はPure Storageの日本法人が11月5日に発表した。

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