Googleは検索事業を分割すべし──欧州議会が決議
欧州議会が、欧州の検索市場で9割以上を占めるGoogleを念頭に、企業は検索エンジンを他の商業サービスから分離すべきという決議を採択した。法的拘束力はないが、欧州委員会によるGoogleの調査に影響しそうだ。
欧州連合(EU)の立法議会である欧州議会は11月27日(現地時間)、欧州連合の政策執行機関である欧州委員会に対し、オンライン企業に検索エンジンを他のサービスと分離するよう要請することを求める決議を採択した。名指してはいないが、これは米Googleを念頭に置いたもの。
欧州議会は、EUが目指す「デジタル単一市場(Digital Single Market)」における健全な競争条件の確保のために、オンライン検索市場は非常に重要であり、EUの競争法強化のために長期的には検索エンジンの他の商業サービスからの分離を求めるべきだとしている。
欧州のオンライン検索市場におけるGoogleのシェアは北米やアジアと異なり、圧倒的だ。アクセス解析サービス企業StatCounterによると、11月の同社のシェア(デスクトップおよびモバイル)は92.44%だ。
この決議に法的拘束力はないが、欧州委員会が2010年から続けているGoogleのオンライン検索と広告に関する独占禁止法に基づく調査に大きな影響を与える可能性がある。
この調査に関しては、今年の2月にGoogleの改善案を受けて終了する予定だったが、競合企業からの反対により現在も継続している。
EUはまた26日に、Googleなどの検索エンジン企業に対し、EUの裁判所裁定に基づき「忘れられる権利」を主張された場合には、欧州だけでなく全世界の検索結果からリンクを削除するよう求める方針も示している。
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