2015年の国内IT市場を揺るがす3つの動き:Weekly Memo(2/2 ページ)
2015年の国内IT市場はどう動くか。筆者なりの視点で大きなインパクトがありそうな動きを3つ挙げる。
<3>「Windows Server 2003」サポート終了と経営革新
3つ目は、マイクロソフトのサーバOS「Windows Server 2003」のサポートが2015年7月15日に終了することをめぐる動きだ。サポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、セキュリティ上、非常に危険な状態となることから、同OSを搭載したサーバを使用中のユーザー企業は新しい環境へ移行する必要がある。同OSはとくに中堅・中小規模の企業システムに広く利用されていることから、2015年の国内IT市場をめぐる動きとしても大きな関心事である。
IDCの調査によると、同OSを搭載したサーバは2014年末時点で約21万台が国内で稼働中。これは現在国内で稼働中の全PCサーバの8.8%を占めるという。サポート終了までにこの台数を極力減らさないと、相当数の企業システムの安全性が脅かされることになる。
注意すべきなのは、新しい環境への移行にはそれなりに時間がかかることをあらかじめふまえておかなければいけない点だ。移行作業には数カ月から、場合によっては1年を要することもある。その意味では、まさしくタイムリミットが迫っている喫緊の課題である。
ただ、ユーザー企業にとっては、この機会が全社的なIT刷新の好機にもなり得る。移行先となる新しい環境として、これまでのオンプレミス環境だけでなく、さまざまなクラウド環境を選択できるからだ。移行先は柔軟に組み合わせ可能なので、あとでIT面での再調整が必要になっても対応できる。
肝心なのは、こうしたIT刷新を機に、企業としてビジネスやマネジメントにITをどう活用していくかをしっかりと見直す機会にすることだ。
すなわち、今回の移行を「経営革新の好機」ととらえるのである。ITベンダーもユーザー企業に、ぜひそうした経営革新の提案を行ってもらいたい。そうすれば、この動きは中堅・中小企業にとって大いに価値のあるものになるはずである。
関連記事
- 国内IT市場動向、2015年はどうなる? 企業の将来を占う「10のメガトレンド」
2015年の国内IT市場でカギとなる技術や市場トレンドは何か。ベンダーの動きはどうなるか。我々は何を考え、実行すべきか。IDC Japanが「2015年IT市場の主要10項目」をまとめた。 - 2015年秋からスタートする「番号制度(マイナンバー)」とは何ですか?
2015年10月から始まる「番号制度(マイナンバー)」。段階的な利用拡大に伴って、行政だけでなく民間企業でも様々な対応が必要となります。本連載では制度のあらましと行政の対応、民間企業が取り組むべき点について解説していきます。 - 深刻「中小企業のWindows Server 2003問題」 今、何をすべきか
サーバOS「Windows Server 2003」のサポート終了日が迫っている。マイクロソフトと販売パートナー、そして国が、まだ利用している中堅中小企業層に向け、認知強化とさらなる優遇支援策を打ち出した。 - Windows Server 2003移行特需に笑うHP、苦境のIBM
Windows Server 2003のサポート終了により、サーバ市場に変動が起こると予想されている。ここで漁夫の利を得そうなのがHP。一方、IBMとDellはHPに後れを取る可能性がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.