「会議室」をなくしたら業務効率が改善できた――インテリジェンスのグループ会社:新しい働き方、新しいオフィス(2/2 ページ)
どんなプロジェクトであってもチームで行う限り「会議」はなくならない。でも、それは「会議室」に集まらなきゃいけないものだろうか? 思い切って社内から会議室をなくした会社がある。
コラボレーションのための環境整備を重視
新オフィスの中心には、周辺部よりも1段高くなったエリアがある。「イノベーションカフェ」と呼ばれるゾーンは、その名前のとおりカフェをイメージした。
「コラボレーションを生み出し続けるオフィスを作りたいという声は強くありました。閉鎖的な会議室では、そこから外への発展性がありません。イノベーションカフェでは、隣のテーブルにいた社員からもアイデアが出たり、人脈が広がったり。何よりも社員の顔と名前が一致するようになりましたね」
また、イノベーションカフェの周辺部には「クリエイティブベース」と呼ばれるゾーンがあり、37種類の椅子が183脚用意されている。社員同士の交流や来訪者とのミーティングに使われたり、普段は客先に常駐しているエンジニアが帰社したときに安心して座ったりする場所だ。「社外で働く社員が『帰ってきたなぁ』と思えるようなスペースを確保しておくことは重要です。これがないと帰属意識が薄れてしまいます」
ところで、IBSのオフィス内にいると音楽が流れているような気がした。疑問に思って聞いてみると、8時30分から22時まで、受付や執務スペースなど同社の占有スペースのすべてでUSENのオフィスBGMサービスを利用しているのだとか。しかも、ゾーンの役割に応じてBGMを使い分けているという。
目的は大きく2つ。1つは、クリエイティブベース全体でのガヤガヤ感の創出とマスキング効果だ。コラボワークを行う場合、シーンと静まり返っていると声を発しにくい空気になる。また、隣の机の打ち合わせ内容が丸聞こえになり過ぎても気になって仕方がない。そこで空間演出の1ツールとして環境音を流すことで、適度な距離感を生み出しているのだ。
もう1つの目的は、メンタルケア対策。ある種の音楽や環境音はメンタルヘルスや集中力アップに効果があるという研究があり、IBSではゾーンや季節に応じてテーマを変えて音楽プログラムを実施しているという。
ちなみに、2014年6月に労働安全衛生法が一部改正され、2015年12月から従業員数50人以上の企業は従業員に対してストレスチェックを実施する義務が生まれた。重度のストレス反応を見せた従業員がいる場合は、働き方や職場環境の改善を検討しなければならない。今後、総務部門や情報システム部門には社員のメンタルヘルス対策が求められるだろう。
大胆なフリーアドレス制を導入したIBSだが、開発エンジニア向けに固定席も残っている。業務内容によっては守秘義務が発生したり、固定席の方が作業効率が良かったりするからだ。
このような新しい働き方を生み出す作業の中心となったのは「88推進グループ」という部門を超えた5人組。同社のコーポレートスローガン「はたらく楽しさを、いっしょにつくる。」の実現に向け、「はたらくを楽しんでいる」社員を88%にするためにさまざまなアイデアをカタチにしているチームだ。
後編では、社内コミュニケーションを円滑に行うための施策などを紹介する。
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