Windows Server新環境への移行に黄信号?:Weekly Memo(2/2 ページ)
2015年7月でサポートが終了するマイクロソフトのサーバOS「Windows Server 2003」。ユーザー企業は新しい環境へ移行する必要があるが、足踏み状態にあることが分かった。対応を急ぐべきその理由は「事業継続に直結する問題」だからだ。
新環境への移行は、企業の「事業継続」問題である
以上、Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行について、NECと大塚商会における直近の決算での動きを取り上げたのは、新しい環境のOSを搭載したPCサーバを「生産・出荷」するNEC、および「販売」する大塚商会が、PCサーバベンダーとして国内市場で大きな影響力を持つからである。
その両社が2014年10〜12月は「厳しかった」と言い、NECからは「PCサーバの更新需要が期待していたほど振るわなかった」との声が飛び出した。これはIT業界にとって「移行」への促進活動をさらに強化すべき「黄信号」と受け止めるべきではないだろうか。
改めて、Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行がなぜ必要なのか。サポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、セキュリティ上、非常に危険な状態になるからだ。
Windows Server 2003は特に中堅・中小規模の企業システムに広く利用されていたことから、ベンダー側はこれまで以上に促進活動を強化し、ユーザー企業に「危機管理」としての対応を訴える必要がある。
一方、ユーザー企業にとっては、「移行」を機に全社的なIT刷新を図るチャンスでもある。移行先となる新しい環境として、これまでのオンプレミス環境だけでなく、さまざまなクラウド環境を利用できるようになるからだ。
ただ、注意すべきなのは、新しい環境への移行には「それなりの時間がかかる」ことをあらかじめ踏まえておかなければいけない点だ。その意味では、Windows Server 2003のサポート終了まで残り5カ月となった今は、取り組みを始めるギリギリの時期と考えるべきである。
2014年10〜12月期において「移行が進まなかった」と明かしたNECの川島氏は、「2015年1〜3月期にずれ込んだ案件も少なくない。この期に年度末を迎える企業が多いことから、更新需要がグッと高まることを期待している」とも語った。そうであれば「黄信号」も灯らなくなるだろうが……。
重ねて訴えておきたい。Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行は、とりわけ中堅・中小規模の企業にとって「事業継続に直結」する問題である。ユーザー企業の早期決断とともに、ベンダー側の万全なサポートを切に望みたい。
関連記事
- 深刻「中小企業のWindows Server 2003問題」 今、何をすべきか
サーバOS「Windows Server 2003」のサポート終了日が迫っている。マイクロソフトと販売パートナー、そして国が、まだ利用している中堅中小企業層に向け、認知強化とさらなる優遇支援策を打ち出した。 - Windows Server 2003のサポート終了、「これから移行」を失敗しない方法は?
2015年7月15日にWindows Server 2003/2003 R2のサポートが終了する。企業にとってはWindows XPのサポート終了よりも深刻な事態だ。今回はサポート終了にどう対処すべきか解説しよう。 - どうすればよい?「Windows Server 2003の移行」──東海物産の好例から
サポート終了日が近づく旧サーバOS「Windows Server 2003」をこれから移行するには、どうすればいいか。多くの中堅中小企業に共通する課題を抱えつつ移行に成功した、三重県の農業資材販売企業「東海物産」の事例を紹介する。 - Windows Server 2003利用者の約半数「終了後も継続利用する」 トレンドマイクロ調べ
トレンドマイクロが、Windows Server 2003を使うIT管理者への意識調査を実施。約半数がサポート終了後も継続利用すると回答していたことが分かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.