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シリコンバレーVCが宇宙に巨額投資する狙いは?:宇宙ビジネスの新潮流(2/2 ページ)
GoogleやVirgin Group、あるいはイーロン・マスクといった米国ビジネス界の著名人たち、さらにはシリコンバレーのベンチャーキャピタルがこぞって宇宙分野に投資している。その背景にあるのは――。
投資判断のための情報整備も追い風に
このように、米国でエンジェル投資家やVCによる投資が加速している背景には、これまでの連載でも言及してきたように、1980年代からの法整備やNASAによる地球低軌道を中心とした商業化政策の推進、起業家によるリスクテイクとベンチャー創業、ITやロボティクスなどとの技術融合など、さまざまな要素がある。加えて、投資家がベンチャー投資判断をするための体系だった情報整備も大きな要素と考えられる。
米国では「Space News」や「NewSpace Global」といった宇宙ビジネスに特化した情報サイトが多数存在しており、日々最新情報がアップデートされている。特にNewSpace Globalは、投資銀行、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティなどの投資家サイドを主要顧客としており、市場動向だけでなく、独自指標に基づく企業評価を行うなど専門的な情報提供を行ってきているのだ。
こうした米国の盛り上がりとは対照的に、日本においてVCによる宇宙ベンチャーへの投資はまだ限定的なのが現状だ。環境整備も含めて、米国発の宇宙ビジネスビッグバンが日本にも好影響を与えることを期待したい。
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