Microsoft、Webブラウザの「Do Not Track」をデフォルトで無効に
Microsoftが、IEおよびWindows 10の標準Webブラウザとなる「Spartan」では、追跡拒否機能「Do Not Track」をデフォルトで無効にする。「W3Cの標準に準じていないという誤解を排除するため」としている。
米Microsoftは4月3日(現地時間)、同社の今後のWebブラウザ(「Interent Explorer(IE)」および「Project Spartan(コードネーム)」)では「Do Not Track」(DNT)機能をデフォルトで無効(オプトイン)にすると発表した。
DNTは、ユーザーがWebサイトに対して自分のネット閲覧行動が追跡されることを望まないと通知する機能。2010年に米連邦取引委員会(FTC)が提案し、2011年にはMozillaや米Google、MicrosoftなどがWebブラウザに機能を追加していった。
MozillaのFirerfoxやGoogleのChromeなど、IE以外の主要ブラウザのDNT機能はデフォルトで無効になっている。Mozillaはその理由を、DNTの目的は「ユーザーが自分の意志で追跡されたくないという選択を表明すること」であるからと説明している。
World Wide Web Consortium(W3C)のTracking Preference Expression(DNT)のエディターズドラフトには「表明という考えで重要になるのは、それがユーザの選択を反映すべきであるという点です。ユーザの制御下にない、何らかの組織あるいは外部のネットワークによって押し付けられた仕組みによる選択であってはなりません」とある。
Microsoftは2012年6月にリリースしたIE10からDNT機能をデフォルトで有効にしている。この決定に対しては、広告業界などから批判の声が上がっていた。
Microsoftは今回の方針変更について、「われわれの方針がW3Cの標準に準じていないのではないかという誤解を排除するため」と説明する。W3Cのエディターズドラフトには先月25日の更新で、「ユーザーによる選択がなければ、追跡拒否の意志を表明したことにはなりません」という文言が追加された。
Microsoftは、変更に際しては、DNT機能を有効にするための分かりやすい情報を提供するとしている。
この変更は、ユーザーが新規購入したPCを最初にセットアップする際と、WindowsあるいはIEをアップデートする際に反映される。
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