IoTが交通・運輸ビジネスを一変させる理由:渋滞消滅? 有料道路が増える?(2/2 ページ)
人の暮らしやビジネスを一変させる可能性を持つ「Internet of Things(モノのインターネット)」。最近は交通や運輸分野での実証実験が盛んに行われている。ITによる交通マネジメントが必要とされる背景や、IoT化が進んだ未来の交通システムについて、オラクルで輸送業界担当を担当するラルフ・メンザーノ氏に聞いた。
IoT化で「有料道路」が増える?
交通の“IoT化”が進むと道路はどのように変わるのだろうか。メンザーノ氏は道路の有料化が加速するとみる。
「米国に有料道路が導入されたときは、使う人がいるのかと思っていましたが、実際のところは多くの人が利用している。人々は時間と快適さにお金を払っているわけです。今後はゲートをアーチ状にして、通過すると自動でお金を引き落とすという仕組みもできてくると思います。現金のやりとりをなくすことで、どれだけお金を払ったかを意識せずにどんどん課金してしまう人も出てくるかもしれません。とはいえ、こうした自動化の流れは世界に広がっていくでしょう」(メンザーノ氏)
有料道路で得た収益は、道路の整備にあてられるケースがほとんどだ。「特に先進国では今後、在宅勤務など新たなワークスタイルの導入が進むにつれて、通勤に自動車を使う人は減少する傾向にある」とメンザーノ氏は話す。自動車利用から得られる税収(ガソリン税など)も減ることが予想されるため、財源確保の方法としても有料道路が注目されているという。
こうしたサービスが日本で展開される可能性はあるのだろうか。メンザーノ氏によると、世界のさまざまな地域でシミュレーションをしているところという。
「今シミュレーションに注力しているのは、2016年に夏季オリンピックが開催されるブラジルのリオデジャネイロですね。会期中に交通混雑がどうなるかを調べています。ソリューションというのは地域によって変わります。例えば米国では、日本と異なり高速鉄道がないことが自動車中心の交通事情を生んでいます。日本の場合、テクノロジーを受け入れやすい土壌が他国と比べて際だっています。導入が進めば、技術やサービスの革新が起きる可能性が高いと言えるでしょう」(メンザーノ氏)
全方位のテクノロジーをカバーする体制で差別化
このように世界でさまざまな実証実験を行っているオラクルだが、同社と同様に交通分野を含むIoT関連のソリューションを開発するベンダーは増えている。オラクルはデータベースのトップベンダーとして、データを軸とした総合的なソリューションを提供することで、他社との差別化を図るという。
「オラクルはハードウェアからデータベース、ミドルウェア、アプリケーションのレイヤーまで、技術としてすべてをそろえているのが強みです。私は11年前にオラクルに入社しましたが、さまざまな技術を持つ会社を買収し、R&Dの連携を行う様子を見てきました。オラクルのハードウェアを使えば、システムが最も効率的に早く動く体制ができあがっているのです」(メンザーノ氏)
今後さまざまな技術革新が起こりそうな「交通×IoT」分野。渋滞解消や大気汚染など、世界各国が抱える交通絡み課題が解決する日も近いのかもしれない。
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