ニュース
土砂災害の危険性、土に含まれる水分量で“素早く”察知――NECが開発
土砂災害の危険性がある斜面を高い精度でリアルタイムに把握でき、迅速な避難勧告の発信が可能になるという。
土の中に含まれる水分量から、土砂災害の危険度をリアルタイムに高い精度で算出――。NECが、防災に役立つ技術を開発した。従来方式に比べてコストを抑えられるほか、安全を確保しながら、迅速な避難勧告を出せるようになるという。
土砂斜面の危険度は、土中水分計と間隙水圧計、ひずみ計を組み合わせて測定するのが一般的だが、「土砂災害危険箇所」に指定される約52万カ所の地質調査や対策工事を行うには、多くのコストが掛かるという問題があった。
また、一部自治体が実施している、監視カメラやワイヤセンサー、傾斜センサーなどを使った統合的な避難判断作業は、前兆となる現象を把握してから実際の崩壊が起こるまでの時間が短く、その解決策として、土中に専用のセンサーを複数埋め込んで情報収集する方法があるものの、多様なデータを迅速に収集し、解析しなければならない点が課題となっている。
NECが開発した技術は、土砂斜面の崩壊危険度に関する複数の指標データを「土砂に含まれる水分量」のみから算出可能にするもの。これまでの方法に比べ、約3分の1のセンサー数で斜面の危険度を算出できる。これにより、従来と同じコストでより広範囲にセンサーの設置が可能になり、土砂災害の危険性がある斜面を高い精度ですばやく把握できるようになった。
NECは実証実験で、土砂災害の危険性ありと判定した10分〜40分後に実際に斜面崩壊が発生することを確認している。今後、自治体・大学・研究機関等と共同で本技術の実証実験を進め、2015年度中の実用化を目指す。
関連記事
- IoTが交通・運輸ビジネスを一変させる理由
人の暮らしやビジネスを一変させる可能性を持つ「Internet of Things(モノのインターネット)」。最近は交通や運輸分野での実証実験が盛んに行われている。ITによる交通マネジメントが必要とされる背景や、IoT化が進んだ未来の交通システムについて、オラクルで輸送業界担当を担当するラルフ・メンザーノ氏に聞いた。 - データが変える、クルマの未来とIoT
すべてのモノがネットワークにつながる“IoT”時代、それは自動車も例外ではない。現在も通信機能を持つクルマ、いわゆる“コネクテッドカー”の普及が進みつつある。インターネットにつながる「未来のクルマ」とは、どのようなものなのだろうか。 - 「IoT」時代の期待と懸念
「IoT(Internet of Things)」、すなわち「モノのインターネット」が注目を集めている。期待が大きく膨らむ一方で、懸念される点もある。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.