NEC、ビッグローブ売却で減収も増益 マイナンバー、オリンピック関連事業で好調の見通し:15年3月期通期決算(2/2 ページ)
NECが2015年3月期通期の連結決算を発表。NECビッグローブを非連結化した影響などから売上高は減少した一方で、官公庁系の売上が堅調に推移し減収増益となった。マイナンバー対応や東京オリンピック関連事業などの後押しもあり、今期は増収増益を見込んでいるという。
主要5部門すべてで増収予想、配当増の見通し
今期はNECが2013年に発表した「2015中期経営計画」の最終年となる。中期計画では2014年度を“実績の年”、2015年度を“成長の年”と位置づけており、営業利益率5%、海外売上比率25%の達成を目標としているが、2015年3月期通期では営業利益率4.4%、海外売上比率は約20%となっている。
2016年3月期の業績予想は、売上高が3兆1000億円(前期比5.6%増)、営業利益が1350億円(前期比5.4%増)と増収増益を見込んではいるものの、中期経営計画と比較すると売上高で1000億円、営業利益で150億円下回る。
一方で当期純利益については、中期経営計画を50億円上回る、650億円を目指すとしており、年間配当は前期比2円増の6円に増配する方針を打ち出した。好調が見込まれるパブリック分野のほか、Windows Server 2003更新需要の取り込み、SDN事業の拡大、エネルギー事業の拡大などで主要5部門すべてで増収を見込んでいる。
今期は、成長戦略の加速や収益性改善にも取り組むという。まずは成長を加速させるため、クラウド、ビッグデータ、SDN、セーフティといった注力事業の発展や、グローバル市場の開拓を目的とし、前期比で約2倍となる300億円弱を投資する。
収益性改善については、全社で業務プロセスの最適化に取り組む。管理部門や事業部門のスタッフ業務の大半をグループ会社の「NECマネジメントパートナー」に集約、不要な業務の廃止や標準プロセスの設計を進めることで、間接業務量の30%削減を目指すという。業務削減により生まれたリソースは「マイナンバー対応やオリンピック関連業務で不足している部門にあてる予定」(遠藤氏)という。
また、今期は次の中期計画につながる年でもあると強調。IoT(=Internet of Things、モノのインターネット)時代に向けた新プラットフォームの構築や、海外向けのソリューション開発により注力する姿勢を示したほか、国際会計基準(IFRS)の適用を行う準備を始めたことについても言及した。
「世界的なトレンドや、他のグローバル企業と比較したいという投資家からのニーズがある。次の中期経営計画から適用できるように、2017年3月期から始められるよう準備を進めている。ただし、のれん償却がなくなるのは個人的にはデメリットもあると思っており、経営的には慎重に進めたい」(取締役 執行役員常務 兼 CFO 川島勇氏)
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