単なるスマホ決済では終わらない、FinTech企業「Square」本当の狙い(3/3 ページ)
スマホをクレジットカードの決済端末に変えるカードリーダーを無料で配布する「Square」。彼らが目指すビジネスゴールは既存の金融機関を脅かすかもしれない。
既存の金融機関が危機感を抱くSquare Capitalとは?
小さなショップにとって、商品在庫の調達、エスプレッソマシーンなどの機器の導入あるいは新規出店などにかかわる資金調達は悩みのたねだ。「事業を伸ばすためのポテンシャルはあっても、銀行の融資では間に合わない」というケースは多いだろう。
あるとき、ニューヨークを基盤とする「Cafe Grumpy(カフェ・グランピー)」は、ニューヨーク中央駅(グランドセントラルターミナル)に出店可能なスペースを見つけた。だが、出店決断までに与えられた猶予は1週間しかなかった。銀行に融資を申し出ても期間内に返答がある可能性は限りなく低い。そこで同社はSquare Capitalを利用した。翌日、出店に必要な約6万ドルが振り込まれた。
なぜ、このようなことが可能なのか? それは、Squareが決済やPOSレジサービスを通じて利用企業の業績データを取得し、即座に経営状況を分析できるからだ。フライアー氏によれば、融資が焦げ付くリスクもデータから最小限にとどめられるという。資金を提供する投資家にとっては手堅くリターンを得られ、Squareにしても利用者のビジネスが大きくなれば手数料収入の機会が増加するというメリットがある。
「Squareは、既存の金融機関がやらないこと、やれないところへ積極的に展開しています。現時点では、Square Capitalが日本に進出する予定はありませんが、進出しない理由もありません」(フライアー氏)
Square Capitalは、サービス開始1年で約2万店の加盟店に対して3万3000件の融資を行った。1件当たりの融資額はだいたい6000〜8000ドルだそうだ。何かと規制の多い日本の金融業界だが、FinTechベンチャーのもつポテンシャルに危機感も抱いているというのもうなずける話だ。
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