Windows 10で変わるアップデートの仕組み:Enterprise IT Kaleidoscope(1/3 ページ)
これまで毎月定例のWindows Updateが提供されてきたが、Windows 10からこの仕組みが大きく変わる。特に企業ではどのような変化が待ち受けているのだろうか。
企業向け「Windows Update for Business」を用意
Windows 10からアップデートに関するMicrosoftの方針が大きく変わる。Windows 8/8.1まではセキュリティに関するアップデートが毎月第2火曜日(米国時間)に集中して行われてきた(緊急時はこのスケジュールに従わないこともある)。
従来のWindows Updateでは「重要」と「推奨」の更新プログラムに分かれていた。重要な更新プログラムはWindows Updateで自動的にインストールが行われるが、推奨される更新プログラムはユーザーが明示的に指定しない限り、インストールが行われない。推奨される更新プログラムではセキュリティ関連のアップデートだけでなく、新しいアプリケーションなども提供されている。
だがWindows 10からは、Windows Updateが“リング”という概念で提供されるようになる。現状のWindows 10 Insider Previewで既に「Fast」と「Slow」というリングが用意され、アップデートの頻度がコントロールされている。
Windows UpdateではInsider Preview、Current Branch(CB)、Current Branch for Business(CBB)というグループに分かれる。CBには「Fastリング」「Slowリング」があり、CBBではWindows Update for Businessによって企業内に複数のリングが存在するようになる
コンシューマー向けはWindows Update、ビジネス向けはWindows Update for Business、大企業向けはWindows System Update Service(WSUS)になる
Windows 10の正式版では重要な更新プログラム、推奨する更新プログラム、新機能などが区別なく提供される。このためMicrosoftは“リング”という概念を用意し、頻繁にアップデートしていくようになった。リングは更新頻度に応じたグループとも言い換えられる。
アップデートされる内容は、まずFastリング向けに提供され、インストール上のトラブルなどがないことなどをMicrosoftが確認する。その上で数週間から数カ月後にSlowリング向けにも提供される。一般ユーザーはFastとSlowリングの2つだけになると思われるが、リングの種類は増えるかもしれない。Microsoftはインストールスケジュールの異なるアップデート方法を用意することで、アップデート上でのトラブルを解消していこうとしている。ある意味、Fastリングは広範囲なテストケースといえるだろう。
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