「マイナンバー対応、大丈夫?」関係者に聞く、企業のいま:特集 情シスが率先して実施する「企業のマイナンバー対応」(2/3 ページ)
マイナンバー制度への対応は、マイナンバーを扱う業務やシステムの見直しとともに、“管理”の徹底に向けた情報セキュリティの強化が不可欠となる。今、企業の現状はどうか。実務関係者の話をまとめた。
大企業ではマイナンバー実務の把握に苦慮
「マイナンバー制度で、われわれにどんな得があるのか」という声をよく耳にする。当面、税と社会保障分野、災害対策分野での利用に限られるマイナンバー制度。対応側となる企業にとって、利益につながるまでのメリットは今のところない。そのことが中小企業の対応の遅れの一因と見る向きは多い。
ただし、法律のため、いかなることがあっても対応しなければならない。そのことは2015年6月現在、対応ソリューションを展開する企業や業界団体などが実施するあらゆる“マイナンバー対応セミナー”に中小企業が殺到していること現状からも明らかだ。首都圏はもちろん、地方での開催も同様に盛況だという。
では見方を変え、企業はマイナンバー対応のどこに苦労しているのか。ここも企業規模で違いが表れた。まず、大企業での代表的な課題は「マイナンバー実務が必要とされる業務の把握のしにくさ」である。
「現場レベルでは、外部の人材も含め、どのように仕事や金が流れているのかを当然把握している。だが、組織の規模が膨らむほど、それらが必然的に見えにくくなる。この把握や棚卸しから苦慮するマイナンバー対応担当者は少なくない」(NTTデータの山田氏)
組織が大きいほど、マイナンバーの管理数も、利用部門も増す。担当部署は人事部門、経理部門、総務部門、法務・コンプラ部門、監査部門、情報システム部門など多岐にわたる。多くの担当者が関与することになるため、その情報共有や連携の手段をどうするか、そんな体制の構築がまず課題になる。
すでに対策実務の準備段階まで進んでいる大企業は、「責任者を配置」し「マイナンバー対応プロジェクトチーム」を組んでいる例が多い。情報交換のための事務局や部門横断型の社内対応チームにより作業の円滑化や対応不備のリスクヘッジに取り組んでいる。「責任者は企業の考え方によって、CFOの場合もあればCIO、CSOのこともある。ともあれ、情報を収集し、それを基に決断するというサイクルを回すためにも、こうした環境整備が企業では不可欠」と山田氏は強調する。
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