パブリッククラウドは銀行システムにどこまで広がるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本マイクロソフトが金融機関向けクラウドサービスに注力する方針を打ち出した。この機会に、パブリッククラウドが銀行システムにどこまで広がるかについて考えてみたい。
情報系から業務系システムに広がる可能性も
日本マイクロソフトが6月25日、金融機関向けクラウドサービスの取り組みに関する記者説明会を開き、推進体制の強化などによって同分野の事業拡大を加速させていく方針を打ち出した。商材となるのは、IaaS/PaaS「Microsoft Azure」とSaaS「Office 365」「Dynamics CRM Online」のパブリッククラウドサービス。同社の新年度(2016年度)となる7月から、新たに150人規模の「金融機関向けクラウド推進体制」を整備するとしている。
同社エンタープライズビジネス担当の小原たく哉(*)執行役専務は、「金融業界はこれまでクラウドサービス利用について、法令対応やセキュリティリスクなどから慎重な姿勢が見られたが、ここにきてグローバルでの競争力強化に向けて取り組み始めるケースが増えてきた。この勢いとともに、2015年6月末に金融機関システム向けの安全対策基準を策定するFISC(金融情報システムセンター)が改訂版ガイドラインを公開することから、その対応を含めて積極的な提案を行い、ビジネスを加速させていきたい」と語った。
小原氏は金融業界におけるパブリッククラウドの利用状況について、FISCの調査レポートから抜粋した図1を示し、「左のグラフから、利用を検討されている段階も含めれば、信託や生保では5割、損保では6割を超えているのが分かる。また、右の表は具体的な利用形態だが、まずは情報系システムから導入が検討されており、今後、業務系システムに広がっていく可能性がある」と説明した。
また、同社のこれまでの実績をふまえた金融業界におけるクラウド利用例では、金融商品開発やデータ分析などの「大規模計算」、新規金融ビジネスやシステム検証環境などの「変動対応」、新しいワークスタイルや海外展開に向けた「柔軟性」、バックアップやBCM(事業継続マネジメント)などの「災害対策」といった4つのケースが挙げられるとした。
こうした状況を踏まえた同社の今後の具体的な取り組みについては関連記事を参照いただくとして、ここからは、金融機関の中でも最も注目度の高い銀行システムに焦点を当てて、パブリッククラウドがどこまで広がるかについて考えてみたい。
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