観客増の切り札誕生!? プロ野球初のハッカソンに行ってきた(1/4 ページ)
ITを使って、昔では考えられなかったような、野球の新しい楽しみ方を考えられるのではないか――そんなテーマに興味を持った44人が集まり、プロ野球界で史上初となるハッカソンが開催された。パ・リーグを“ハック”したその結果は……?
日本の国民的スポーツ「野球」の人気低迷が叫ばれて久しい。お茶の間の娯楽として、毎日のように試合が放送されていた一昔前と異なり、最近では地上波放送も減り、プロ野球そのものに触れる機会が減っているのが現状だ。「昔は見ていたんだけど、最近はさっぱり……」という“元”野球ファンの人も多いのではないだろうか。
プロ野球界もこの状況にただ手をこまねいているわけではない。野球から離れた人に戻ってきてもらいつつ、もっと多くの人に野球に興味を持ってもらう方法はないかと、さまざまな施策を打ち出してきた。
特に最近ではITを使った試みも増えてきている。技術が進歩した今、昔では考えられなかったような、野球の新しい楽しみ方を考えられるのではないか――。そんなテーマに興味を持った44人が集まり、2015年5月、プロ野球界で史上初となるハッカソン「パッカソン Hack for Pacific League 2015」が開催された。
パ・リーグをハックせよ!
ハッカソンのテーマは「野球をあまり知らないような人も楽しめる、新しい観戦スタイル」。イベントを主催するパシフィックリーグマーケティング(PLM)と富士通が開発した、試合中のワンシーンを検索できる「パ・リーグ イノベーション API」を使い、新しいサービスを考えるというものだ。
各個人がアイデアを出し合う“アイデア千本ノック”から始まり、最終的に10個のチームに分かれてプログラムを開発、3分間のプレゼンテーションでそれぞれのアイデアを競い合った。
次の1球を投手がどのコースに投げるかをユーザーが予想するアプリ「1Q」、好きな選手のホームランシーンに3Dモデリングされた自分の顔をかぶせて、あたかも自分が活躍しているような映像を作る「パパはプロ野球選手」、ウェアラブル端末が試合の盛り上がり度を探知し、周囲の人とハイタッチするタイミングを伝えてくれる「FeeeRing」など、完成度の高いサービスが出そろった。
そして、10個のバラエティに富んだサービスから、特に魅力的な2つが準グランプリとグランプリに選ばれた。それらのアイデアを紹介しよう。
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