A3、B4の大判書類、スキャナを使ってデータ化するには:職場で役立つデジタル化レシピ(1/2 ページ)
A3、B4など、大判サイズの書類がスキャンできずに困ったことはないだろうか。今回は、大判書類を効率よくスキャンする方法をまとめた。スマホアプリを使った方法もある。
この連載は
保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。
また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe-文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。
本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)
スキャナを使って書類をデータ化する際、ネックになるのがA4よりも大きいサイズの書類だ。多くのスキャナはA4サイズまでしか対応しておらず、A3やB4などの書類はそのままではスキャンできない。手持ちの書類をデータ化する際、これらの書類だけが紙のまま残ってしまうと、保管場所が片付かないばかりか、検索性の観点からも望ましくない。
A3をはじめとする大判の書類をスキャンしてデータ化するには、それらのサイズに対応したスキャナを使用する以外に、A4対応スキャナの合成機能を使うなど、いくつかの方法が考えられる。一見すると同じ方法に見えても、メーカーや機器によって手順は大きく異なり、当たり前と思っていた方法が別の機器では使えないこともしばしばだ。
ここでは、A3サイズの書類をデータ化する際に知っておくと役立つ、これら方法の違いについてまとめてみた。
A4対応スキャナが持つ合成機能を使って読み取る
もっとも手軽なのは、すでに手元にあるA4対応スキャナの合成機能を利用することだ。A4対応のドキュメントスキャナの多くには、A3サイズの原稿を半分に折りたたんでスキャンすることで、表面と裏面を合成し、1枚の画像として保存する機能を搭載している。この機能を使えば、新たにA3対応のスキャナを調達しなくとも、A3サイズの原稿をデータ化できる。
合成機能は、キャリアシートと呼ばれる半透明のシートに挟む方法と、二つ折りにした原稿をそのままセットする方法の、大きく2通りがある。前者はシートによって原稿が保護されるため、書類を痛める確率が低くなるほか、表裏の合成順序(左→右もしくは右→左)も指定できる利点がある。PFUの「ScanSnap iX500」などが採用しているのがこの方法だ。
ただし二つ折りにした原稿をキャリアシートに挟み込まなくてはいけないため手間は相応にかかり、枚数が多いとかなりの労力がかかる。また原稿が分厚いとキャリアシートに挟むことで厚みがさらに増し、ADFを通過できなくなる場合もある。
キャリアシートを使わず二つ折りにした原稿をそのままADFにセットし、スキャンを行える機種もある。通常のモードのまま二枚重ねにしてADFを通過させると重送と誤検知されてしまうため、スキャナ本体のレバーを「非分離」「ストレート排紙」に切り替えるなどの操作は必要になるが、キャリアシートに挟まないぶん準備が少なくて済み、複数の原稿をまとめてセットできるという利点もある。キヤノン「DR-C225W」などがこの方式だ。
いずれの方法も、A4対応スキャナが手元にあれば機器を買い足さずに済むのが利点だが、折り目の位置にある文字列が読み取りづらくなるのがネックだ。原稿に厚みがあると読み取りの際に斜行し、合成した際にハの字状に開いてしまうこともある。また、キャリアシートを使うか否かを問わず、半分に折りたたむだけでも相応の手間がかかるので、多くの原稿の読み取りには不向きだ。枚数が少ない場合に限定した方法と言っていいだろう。
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