“e文書法仕様”のスキャン、ボタン1つで ScanSnapの「e文書モード」を試す:職場で役立つデジタル化レシピ(1/2 ページ)
「e文書法」は2015年9月末の改正で、3万円以上の帳票についても電子化が認められるようになる。このe文書法に対応した読み取りが手軽に行える、PFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズに新たに追加された「e文書モード」を試してみよう。
この連載は
保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。
また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。
本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)
領収書や請求書、契約書など、ビジネスで発生するさまざまな帳票をデータとして保存し、原本を破棄できるように定められたのが「e文書法(電子帳簿保存法)」だ。
2015年9月末にはルールが一部改正され、これまで認められなかった3万円以上の帳票についても電子化が認められるようになるほか、電子証明書の添付も必須ではなくなる。先行する諸外国ではこれらのデータ保存が幅広く認められており、日本でもルールの緩和を受け、導入する企業が増えると予想される。
もっとも、これらの帳票をスキャンする場合、どんな機器を使っても、どんな読み取り設定でもOKというわけではない。例えば白黒2値は認められず、原則としてフルカラーで取り込む必要がある。解像度も原則200dpi以上と定められているほか、スマホやタブレットのカメラで読み取った画像は、いかに高解像度であろうとも、現状では対象外だ。さらに言うと、これらの要件が各省庁ごとに微妙に異なっていることも、利用者を悩ませる原因になっている。
こうした制限から、企業が書類のデータ保存や原本破棄に二の足を踏んでいるのが現状だが、最近になってこうしたe文書法に対応した読み取りモードをスキャナに搭載する動きが出始めている。このモードをオンにしておけば、e文書法に準拠したスキャンが行えるので、ユーザの側ではあれこれ考えなくて済むというわけだ。
今回は、6月29日のアップデートで「e文書モード」が追加されたPFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズで、「e文書モード」の具体的な使い方をチェックしてみた。
設定を「e文書モード」に変更するだけ
「e文書モード」でスキャンを行う手順そのものは、通常のスキャンとなんら変わらない。すなわち、原稿をセットしてSCANボタンを押すだけだ。ユーザの側で事前に行っておかなくてはいけないのは1つだけ。事前にタスクトレイの「ScanSnap Manager」アイコンをクリックして「e文書モード」に変更しておくことだ。
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誤解していると、思わぬ落とし穴にはまり込む可能性があるのがe文書法だ。e文書法の目的をしっかり理解し、企業ができることをまず考えて活用する必要がある。
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