“e文書法仕様”のスキャン、ボタン1つで ScanSnapの「e文書モード」を試す:職場で役立つデジタル化レシピ(2/2 ページ)
「e文書法」は2015年9月末の改正で、3万円以上の帳票についても電子化が認められるようになる。このe文書法に対応した読み取りが手軽に行える、PFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズに新たに追加された「e文書モード」を試してみよう。
この「e文書モード」は、e文書法の要件を満たした読み取り設定があらかじめプリセットされており、初期状態ではカラー200dpiのPDFでの読み取りに設定されている。解像度など、項目によっては変更できる値もあるが、保存先やファイル名の付け方など、ファイルの保存にまつわる項目を除けば変更せずにそのまま使ったほうが賢明だろう。
電子保存の強い味方に
実際にスキャンしたデータを見てまず目につくのは、全体的に色が濃く、地肌が真っ白ではないこと。これはe文書法に、修正の跡がきちんと読み取れることが要件の1つとして含まれているためで、地肌の色を濃く読み取ることで、白地に白い修正液を使った場合も跡が判読できるようにしているわけだ。
地肌の色を白く飛ばすことで修正の跡や原稿の折り目などを目立たなくする通常のスキャンモードとは、まったく異なる発想といっていいだろう。とはいえ、通常の書類として見た場合も違和感がない濃度に抑えられているのは、実用面からもありがたい。
ユーザーにとって一番怖いのは、電子保存しようとスキャンした帳票が要件を満たしておらず無効になってしまうことだろう。その点、今回紹介した「e文書モード」のような専用の読み取り設定があらかじめ用意されていれば、致命的なミスが起こりにくいという安心感がある。
機器の買い替えも不要で、アップデートだけで使えるようになる「e文書モード」のような機能は、帳票の電子保存と、その結果もたらされる事務処理コストや保管コストの削減において、強い味方となるはずだ。
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