NTTデータ、中小・会計事務所向けマイナンバー対策ソフト「データ管理の達人」
中小企業・会計事務所向け税務申告書作成ソフト「達人シリーズ」の新ラインアップ。マイナンバー法で求められる安全管理措置に対応しながら、安全かつ負担なく税務業務が行えるよう工夫した。年4万9800円。
NTTデータは7月6日、中小企業・会計事務所に向けたマイナンバー対策ソリューション「データ管理の達人」を発表。2015年11月下旬より販売をはじめる。
データ管理の達人は、税務申告書作成ソフト「達人シリーズ」の新ラインアップとして展開するもの。マイナンバーを含めた税務に必要な基本情報の管理と収集機能、達人シリーズや他社ソフトウェアとのデータ連携機能、データセキュリティの統合管理能を備え、達人シリーズのユーザーがマイナンバー法で求められる安全管理措置に対応しながら、安全かつ正確に税務の業務が行えるよう工夫した。
利用料は年間4万9800円(税抜/ダウンロード版)。中小企業や会計事務所がマイナンバー対策で大きな負担なく安全管理措置に対応できる価格帯とした。
今後、既存達人シリーズの暗号化強化やアクセス制御などのマイナンバー制度に対応した機能強化や電子申告の新商品追加、クライアント環境での情報拡散を監視するサービスなど、中小企業や会計事務所が迅速にマイナンバー制度で求められる安全管理措置に沿った環境整備が行えるソリューションも随時リリースしていく。
マイナンバー制度とは
マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。
国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。
利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。
マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。
マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。
マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。
関連記事
- 特集:情シスが率先して実施する「企業のマイナンバー対応」
2016年1月に利用が始まる「マイナンバー(個人番号)制度」。すべての企業は、このマイナンバーに社として対応する必要が迫られています。「マイナンバーとは何か?」の基本解説とともに、企業のIT担当リーダーが抱える課題に特化し、実対策と実導入・導入に向けた具体策をまとめていきます。 - 想定業務と情報漏えいのリスクから考える、中小企業の「マイナンバー対策」
企業のマイナンバー対応が急がれる。中でも遅れがちな中小企業はどうするか。マイナンバーの第一人者 富士通総研経済研究所の榎並氏とデジタルアーツが、想定業務と情報漏えいのリスクから考える、中小企業のマイナンバー対策案を説明した。 - NEC、中堅・中小企業のマイナンバー対応を支援 奉行やPCA Xとも連携
顔認証やログ監視、暗号化を活用した「マイナンバー安心セット」を提供。人事・給与ソフトとの連携も推進する。 - NEC、先端技術使うマイナンバー対応の一連システム 企業向け販売も
NECグループが、顔認証・SDN・画像認識などの先進技術を活用したマイナンバー制度対応システムを構築。蓄積したノウハウを企業向けのマイナンバー対応ソリューションにも適用する。 - 中堅企業に適する12のオフィスセキュリティ、ワンセットに
東芝情報システムが中堅企業向けの統合型オフィスセキュリティソリューションの提供を開始。情報漏えい+マイナンバー制度の対応を迅速に進められる。 - マイナンバー対応を「税理士起点」に “持たずに済む”新サービス
アカウンティング・サース・ジャパンが、税理士と中小企業のための基本無料のマイナンバー管理サービス「マイナセキュリティ」を8月に開始。中小企業のマイナンバー対応は「税理士を起点に」がキモという。 - 月980円、freeeが中小・税理士向けマイナンバー管理サービス
クラウド会計・クラウド給与計算のfreeeが、マイナンバー対応ためのクラウド型新ソフト「マイナンバー管理 freee」を発表。2015年冬の開始に向け、事前登録の受け付けをはじめた。 - マイナンバー収集、複合機で簡単に コニカミノルタが新サービス
マイナンバー対応で最初の壁となる「収集」業務。コニカミノルタビジネスソリューションズが自社の複合機を活用して負担を軽減するサービスをはじめる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.