失敗なしに“よいリーダー”は生まれない:そのひとことを言う前に(1/2 ページ)
連載を通じて、これまでいろいろ職場のコミュニケーションについてアドバイスをしてきました。今回はその総まとめとして、数々のアドバイスを実際の行動に移すための方法をお教えします。
連載「そのひとことを言う前に」
職場で感じるストレスの原因は、うまくコミュニケーションがとれないことによるものが多いようです。本連載では、伝え方や接し方、聴き方に至るまで職場でよくあるエピソードをもとに、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションや考え方のヒントをご紹介します。言葉を受ける側の立場や気持ちを理解し、自分が発する言葉について見直してみてはいかがでしょう。
職場で感じるストレスの大半は、コミュニケーション不全が引き起こしているものです。この連載では、主にリーダーやプロマネといった立場で、よくあるエピソードをもとに、コミュニケーション全般にわたって「なぜダメなのか」「どうすればよくなるのか」をお伝えしてきました。
とはいえ、「分かること」と「できること」はまた別物です。仮に記事を読んで理解したとしても、行動に移せるとは限りません。そんなことを身をもって経験した方も多いのではないでしょうか。今回はこれまでの総まとめとして、今までの記事中で具体化したアドバイスを“できる”ようにする手段をご紹介しようと思います。
まずは、なぜ「できない」のかを考えてみましょう。実は多くの人の場合、最大の障害となるのは自分の気持ちです。どうすればよくなるかを分かっている状態で、「でも、やらない」という選択をしてしまうのです。
心構え――自分に“言い訳”をしないために
皆さんは新しいことにチャレンジしようとしたときに、「忙しいから」「周りの目が気になるから」「前例がないから」と急に不安になったことはありませんか? 人はいろいろと理由をつけて、チャレンジしようと思う気持ちを抑えつけようとします。その理由は「能動的惰性」。人はいつものやり方で想定内の結果が出る方が、心が安定して楽に感じるのです。失敗が怖いという感情もこれに通じるものがあります。
しかし、新たなチャレンジをしなければ、今の状態から何も変わりません。かの有名な物理学者、アインシュタインはこう言いました。「狂気とは、同じことを繰り返し行い、違う結果を期待することだ(Insanity: doing the same thing over and over again and expecting different results.)」。
もしあなたが現状に不満を感じている――例えば「チームのコミュニケーションがよくない。変えたい」と思っているのにもかかわらず、今までと同じコミュニケーションを続けても、何も変化しません。それどころか、コミュニケーション不全でさらにチームの雰囲気が悪くなる可能性だってあるのです。
例のエピソードを「自分ごと」化する
今回の記事で、一番伝えたいメッセージは「まずやってみる」ということです。過去の記事でも能動的惰性を乗り越える方法を紹介しましたが(参考記事:分かっちゃいるけど行動できない――妖怪「でも、メンドクサイ」を倒す方法)、今回はまた異なるアプローチをご紹介します。
「やってみよう」という気持ちを奮い立たせるには、自分なりのアレンジをするといいでしょう。これまでの記事で紹介したアドバイスは、皆さんの状況にピンポイントであてはまるエピソードもあれば、「ちょっとずれてるな」と感じたものもあったと思います。
もし当てはまらなければ、例に挙げたエピソードを自分や自分の職場に置き換え、「自分だったらどうすればよいのか」というレベルまで具体化して考え、自分風にアレンジするとよいです。このアレンジ作業を行うことで、エピソードが“自分ごと”になり、効果や道筋が見えやすくなるため、試してみようというモチベーションが上がります。
これが「分かる」を「できる」にする1つ目のステップです。これができたらしめたもの。あとはフレームワークに従って、その効果を高めればいいのです。
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