富士通研究所と九州大学は7月10日、大規模災害時の最適な復旧計画をスーパーコンピュータで直ちに立案できる技術を開発したと発表した。迅速な復旧作業の実現に役立つという。
九州大と富士通研は、作業の優先順序や合流作業、担当地区優先、労働時間規約など現実の複雑な制約条件を考慮した上で、短時間に人員配置と作業計画の立案ができる局所探索アルゴリズムを共同で開発。このアルゴリズムを使って、九州大学情報基盤研究開発センターに設置された富士通のPCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX400」で並列計算を実施した。
その結果、506の復旧箇所と64の作業班で実施する場合のスケジュールを3分で算出することに成功したという。
大規模災害では広範囲の社会インフラに被害が及ぶだけでなく、二次災害や道路の寸断など突発的な事象も短時間のうちに発生し、状況が刻一刻と変化する。そのため、限られた人員でも効率的かつ早急に復旧作業へ着手したり、変化にも柔軟に対応したりできる技術が求められていた。
九州大学と富士通研究所は2017年度以降の実用化を目指す。今後は、実運用で課題になる災害状況や作業状況のデータをリアルタイムに収集できるデータ活用基盤の検討を含め、自治体などの防災業務に技術を適用できるようにする。
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