今後のHCM/人事支援サービスの“肝”はどこにあるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
富士通と日本オラクルが相次いで新たな人事支援サービスを打ち出した。両社とも狙いは「人材情報を企業の競争力にどう生かすか」。その“肝”となるのは何か。
富士通と日本オラクルが新サービスを投入
富士通が7月9日に提供開始したのは、人事給与・人材管理業務のアウトソーシングサービス「FUJITSU BPOサービス グローバルHCMサービス」(以下、グローバルHCMサービス)。グローバルにビジネスを展開する日本企業向けに、日本だけでなく各国の人事関連業務を一括して請け負う形だ。
サービスの基盤には、各国の通貨や法制度に容易に対応でき、世界145カ国以上で導入実績がある英NGAヒューマンリソーシズの人事給与システム「euHReka(ユリーカ)」と、世界177カ国の4200社以上で利用されている独SAPの人材管理システム「SuccessFactors」を利用する。これらはいずれもSaaS型クラウドサービスである。
富士通は両システムを連携させ、これまで国内で培ってきたBPO(Business Process Outsourcing)サービスの経験とノウハウを融合して新サービスを提供する。世界各国の人事給与・人材管理業務を日本国内でワンストップで請け負い、各国の法改正にも標準サービスで対応するため、海外企業との統合・合併などにも迅速に対処できるとしている。(図1)
サービス展開については、富士通がNGAの世界30カ所以上のサービス拠点を通じて行い、各国の社会保障制度や税制度などの法定要件、慣習的な業務プロセスなどを考慮した国ごとの業務オペレーションモデルとドキュメントのテンプレートを提供する。これにより、各拠点のプロセスやソリューションを標準化して導入工数を抑えられるため、通常は12カ月程度必要な導入期間を7〜10カ月に短縮できるという。(図2)
一方、日本オラクルも同じ7月9日、グローバルで展開している人事関連業務のSaaS型クラウドサービス「Oracle HCM Cloud」の拡張機能として、次世代のワークスタイルを支援する「Work Life Solutions」を提供開始すると発表した。
同社はこの新機能について、「社員にとっては自身の成長と仕事の成果を、私生活とキャリアの目標を連携させながら実現でき、企業にとっては優秀な人材を引きつけて維持していくことを支援するツール」と説明している。サービスの詳しい内容については、関連記事を参照していただきたい。
関連記事
- 松岡功「Weekly Memo」バックナンバー一覧(2008年開始)
- “攻めのIT”には何が必要か 「HCMクラウド事業」を推進するオラクルの意図
オラクルがクラウド型人事アプリケーション「Oracle HCM Cloud」の機能拡張を発表。攻めのITには“次世代型の人材”が必要。ソーシャルも評価する概念を取り入れた、新時代の人事・人材戦略のあり方を日本市場でも推進していく。 - オラクルが語るタレントマネジメント
人事業務の最新のトレンドとして「タレントマネジメント」への注目度が高まっている。先週、その有力ベンダーであるオラクルに最新事情を聞いたので、エッセンスを紹介する。 - 動き出したタレントマネジメント市場
今回は、ここにきて注目度が高まっている「タレントマネジメント」にフォーカスしてみたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.