Googleに英当局が「忘れられる権利」での削除に関する記事へのリンクの削除を命令
Googleが「忘れられる権利」で個人名での検索結果のリンクを削除したことがニュースになり、その個人名での検索結果にニュースが表示されてしまうのはデータ保護法違反だとして英当局がGoogleにニュースへのリンク削除を命じた。
英政府法執行機関のInformation Commissioner's office(ICO)は8月20日(現地時間)、米Googleに対し、9つの検索結果を削除するよう命じたと発表した。
Googleは、欧州司法裁判所による昨年5月の裁定を受け、欧州のユーザーから要請があった場合、「忘れられる権利」に該当すれば検索結果から個人情報を含むWebサイトへのリンクを削除することを義務付けられている。
ICOが削除を命じているのは、Googleが既に削除したリンクに関する複数のメディアによる関連記事へのリンクだ。Googleがリンクを削除したこと自体がニュースになり、その記事内に最初にリンク削除を要請した個人名が明記されているため、その氏名を検索すると記事へのリンクが表示されてしまう。
Googleは透明性維持の目的で、要請のあったリンクを削除する際、リンク先のコンテンツオーナーに削除することを通知しているため、メディアは自社の記事へのリンクが削除されたことを記事にすることもあるわけだ(英BBCによる削除リスト)。
Googleは、この個人からの記事リンク削除要請を、記事は公共の重要性を持つものだとして拒否した。
ICOは、検索結果削除の決定に関する内容にはニュース価値があることを認めつつも、個人名の検索結果にこのニュースが表示され(しかもそのニュースでその個人の過去の軽犯罪が蒸し返され)ることはデータ保護法に反すると主張する。
ICOはGoogleに、リンク削除までに35日間の猶予を与えている。
この件が再度記事に取り上げられれば、削除要請した個人の名前がまた浮上するかもしれない。
関連記事
- Google、欧州で検索結果からのURL削除リクエストの4割に対応
Googleが欧州で5月から実施しているユーザーからの検索結果のURL削除リクエスト対応の現状を透明性リポートページで公開した。これまでに約50万件のURLをレビューし、その約4割を削除した。 - Google、「忘れられる権利」対応の削除リクエストフォームをEUユーザー向けに公開
Googleは欧州司法裁判所による5月13日の裁定を受け、個人が「不適切な、無関係あるいは既に無関係になっている、過度な」情報のURLをGoogleの検索結果から削除するようリクエストするためのフォームを欧州のユーザー向けに公開した。 - 「Googleは要請があれば個人情報へのリンクを削除すべし」──欧州司法裁判所の裁定
スペインの個人がGoogleに対して検索結果から不適切な個人情報を掲載するWebページへのリンクを削除するよう求めていた裁判に関し、欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所がGoogleは該当するリンクを削除しなければならないという裁定を下した。 - Google、検索結果からリベンジポルノ画像を削除へ リクエストフォーム準備中
Googleが、要請があればリベンジポルノ画像を検索結果から削除する方針を発表した。向こう数週間中にリクエストフォームを公開する。 - 検索結果からプライバシー情報削除、ヤフーが方針公表 いじめ被害や犯罪被害も対象に
「Yahoo!検索」の検索結果にプライバシーを侵害する情報が含まれていると申告を受けた場合の削除方針をヤフーが公表。表現の自由とプライバシーバランスを鑑みて、削除するか否かを判断する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.