データ分析の注目トレンド、「セルフサービスBI」って何ですか?:「セルフサービスBI」の基礎知識【前編】(1/2 ページ)
昨今、業務部門が情シスに頼らず、自らデータ分析やリポート作成を行う「セルフサービスBI」が注目されている。あらためて「セルフサービスBI」とは何か、そして導入時に気を付けるポイントは何かを専門家に聞いてみた。
ビジネスにおけるICT活用の進展に伴い、企業は多種多様なデータを大量に持つようになった。そのデータをどう活用し、ビジネスにつなげるかが各社共通の課題となっているが、昨今では、業務部門が外部の専門家や情報システム部門に頼らず、自らデータ分析やリポートの作成を行う「セルフサービスBI」という考え方が注目されている。
セルフサービスBIを提供するベンダーも増えてきており、今後、情報システムの担当者が業務部門から「セルフサービスBIを使いたい」という相談を受けるケースも増えるだろう。
そもそもセルフサービスBIとは何か? 導入時に気を付けることは何か、相談を受けたときに情報システム部門はどうすればいいのか――。BI分野に詳しいガートナー ジャパンの堀内秀明氏に「セルフサービスBI」の基礎知識と導入のポイントを聞いた。
3分で分かる、「セルフサービスBI」が登場した背景
そもそも「BI(ビジネスインテリジェンス)」とは、企業がさまざまなデータを蓄積し、それを分析、リポートすることで、経営上の意思決定などに生かすことを指す。それを支援する「BIツール」は、1980年代後半ごろから多くの企業で導入されてきた。
この“従来型”BIツールの導入と運用を担ってきたのは、他の業務システム同様、情報システム部門だ。ユーザー部門にヒアリングをして要件を定義し、それを元に蓄積するデータやリポートの出力方法などを設計、システムを構築する。その結果、経営層や業務部門は最新の事業データの確認や、それらの集計・分析が“自由に”できるようになるというわけだ。
ただし、ここで言う“自由に”とは、あくまで「事前に決められたデータやレポーティング形式の範囲内で」という条件がつく。「このデータを集計対象に加えてほしい」「こんなリポートも出してほしい」といったユーザーからのニーズを満たすには、情シス部門の対応が必要となる。「可能ではあるが、実装するには6カ月必要」「他の業務との優先順位の問題で対応できない」といった回答で、対応が見送られるケースも多々生じているのが現状だ。
その場合、業務部門はどうするのか? 堀内氏によれば、BIツールから必要なデータをダウンロードしてExcelで集計するなど、「自分でがんばってどうにかしている」ユーザーがほとんどだという。
「これは分析の難易度にかかわらず、どの企業でも起きていることです。そういった経験を経て、ユーザーは『(BIを)IT部門に任せているのが、そもそもダメなのではないか』『自分たち自身で簡単に使える、もっとクールなツールはないのか?』と考えるようになるわけです。そこでベンダーから『ありますよ』と出てきたのが、セルフサービスBIと呼ばれるツールです」
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