毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「サーバ仮想化が変えたサーバ利用の常識」(2):即席!3分で分かるITトレンド
前回に続き、「サーバ仮想化」によって変化した運用の利点について解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
「サーバ仮想化」は、システム資源の調達や構成変更の利便性を高めただけではなく、障害や災害が発生したときの対処にも効力を発揮します。
停止時間の低減
仮想サーバは、ハイパーバイザーが設定ファイルを読み込むことで稼働します。従って、ある物理サーバに障害が発生した場合、他の物理サーバで動くハイパーバイザーでその設定ファイルを読み込むように設定しておけば、この物理サーバ上で仮想サーバとして再稼働させることができます。
従来は、サーバの障害が発生すると、機械の復旧とデータ復元で半日〜1日の作業が必要でしたが、サーバ仮想化技術を使えば、停止時間は、仮想サーバを再起動するための数分程度となります。
また、仮想サーバは、稼働させたまま、他の物理サーバへ移動させることもできるようになりました。この仕組みを「ライブマイグレーション」といいます。この仕組みを利用すれば、例えば、保守点検に際して物理サーバを停止させても、ユーザーに意識させることなく作業ができます。
災害対策への対応
地理的に離れた複数の物理サーバ同士で仮想サーバのイメージ(設定ファイルとデータやアプリケーションを格納したファイル)をコピーしておけば、一方が災害で機能しなくなったときに、もう一方でその仮想サーバを稼働させることができます。
従来、災害対策用には、対象のシステムと同等の構成を持つ機器をバックアップとして保持しておかなくてはならず、非常に高いコストが掛かっていました。しかし、例えば普段は優先度の低い業務で使っている物理サーバを、災害時に優先度の高い仮想サーバとして使うことで、災害対策のコストを抑えられるようになりました。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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