毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「仮想化の歴史」:即席!3分で分かるITトレンド
1960年代から使われてきた仮想化技術は、ITの進展とともにどう進化してきたのか――。歴史をたどりつつ、あらためておさらいしておこう。
この連載は
カップ麺を待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
コンピュータの高性能化・低価格化で変化した「仮想化」の利用法
仮想化の歴史は古く、1960年代から使われています。当時コンピュータは大変高価でしたが、その機能と利便性が認められるようになると、利用したいと考えるユーザーが増えていきました。
しかし、ユーザーごとにコンピュータを購入していては、お金が続きません。そこで、1台のコンピュータをあたかも複数の独立したコンピュータが存在しているかのように見せかけ、個別の“専用コンピュータ”のように使ってもらおうと生みだされたのが「仮想化」です。
その後、コンピュータは性能を高め、価格は下がり続けます。そうなると、大型のコンピュータを複数のユーザーで使うよりも、それぞれに専用のコンピュータを購入する方が自由度も高く、費用も少なくて済むようになりました。その結果、多数のコンピュータが導入されるようになったのです。
一方で、機能や役割の重複、利用部門任せでガバナンスが効かない管理、会社全体としての運用管理の負荷やコスト増大などの問題を抱えるようになりました。
この状況に対処するために、再び「仮想化」が注目されるようになりました。高性能で安くなったコンピュータと仮想化の技術を使えば、複数のコンピュータを集約し、物理的なコンピュータの台数を減らすことができます。
これにより、コンピュータの購入台数を減らし、運用管理負担を軽減し、コストも削減できます。かつて高価なコンピュータを分割する手段として使われた仮想化は、集約の手段として使用されることになったのです。
著者紹介:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しい職歴はこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
関連記事
- 連載「即席!3分で分かるITトレンド」記事一覧
- 「このままだと企業の4割が消える」――経産省が“攻めのIT”を後押しするワケ(前編)
攻めのITに取り組む企業を選出したり、企業のIT投資についての調査を行うなど、経済産業省が「攻めのIT」を推進しようと活発に動いている。国として、今「攻めのIT」を推進するのはなぜなのか。経産省の担当者に聞いてみた。 - 全ITインフラの管理窓口を1つに──逃れられない運用管理をどう簡素化するか?
最も時間を費やす日々の運用管理タスクをシンプルにするには、システムの規模や種類に関係なく、一元管理できるツールが必要だ。日々運用管理に忙殺されるIT部門のために進化した統合運用管理ツールの進化を見ていこう。 - 10年後を見据えたIT基盤、大阪府済生会中津病院が構築
医療サービスの向上のために医療従事者の働き方を変革するプラットフォームと位置付ける。 - 自動制御の植物工場、センサー×ビッグデータ×人工知能で実現へ
センサーとビッグデータ、人工知能をフル活用して自動制御の植物工場を――。スタンシステムがITを利用した工場の運用に乗り出した。ITインフラにはIBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。運用のノウハウを蓄積し、LED植物工場用栽培環境最適化システムとして外販することも検討している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.