自動制御の植物工場、センサー×ビッグデータ×人工知能で実現へ
センサーとビッグデータ、人工知能をフル活用して自動制御の植物工場を――。スタンシステムがITを利用した工場の運用に乗り出した。ITインフラにはIBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。運用のノウハウを蓄積し、LED植物工場用栽培環境最適化システムとして外販することも検討している。
センサーとビッグデータ分析、人工知能をフル活用して自動制御の植物工場を――。スタンシステムがITを利用した植物工場の運営に乗り出した。ITインフラにはIBMのクラウドサービス「SoftLayer」を採用。運用で蓄積されたノウハウをベースに開発したシステムパッケージの外販も予定している。
スタンシステムのLED植物工場は自動制御式で、作物の生育状況に適したLED光(周波数・光力)を照射することで最適な栽培環境を維持し、植物を育てる。栽培環境を維持するためには、温度や湿度、水分、二酸化炭素、消費電力、成長過程の画像などといった作物の栽培環境データを自動収集して生育状況を把握することが前提となる。同社の工場では、それぞれのセンサーやカメラから集めたデータを分析し、栽培作物ごとの栽培レシピに基づいて、LED管(赤・青・緑)のオン/オフや光量調整を自動で制御しながら高品質な作物を短期間で育成することを目指して実験を進めている。
植物工場を支えるのは、照明の自動制御、自動栽培用レシピ管理、栽培履歴情報の収集分析、画像処理を担う4つのシステムで、スタンシステムはこれらのシステムを支えるインフラとしてSoftLayerを選んだ。選定理由は、大量のデータを低コストで活用できること、サービスの可用性・安定性に優れていること、高度なセキュリティ機能を備えていること、IT環境の機能強化や拡張を柔軟かつ迅速に行えることなどを挙げている。
同社は、工場の運用で得た実績とノウハウをベースに開発したLED植物工場用栽培環境最適化システム「スマートプラント」を提供していく予定。スマートプラントは、栽培情報のビックデータ分析に基づく栽培作物ごとのレシピ開発も含めた、完全制御型植物工場構築・自動運用のための総合サービスとなる。同社は今後、作物を育てる最適な環境の分析にIBMの人工知能「Watson」を採用することも検討している。
関連記事
- 脅威の予測に人工知能 IIJがセキュリティソリューション開発へ
人手を介さずリアルタイムに大量の通信トラフィックを監視し、異常を検知することで、新たな脅威の予測と迅速な対策が可能になるかどうかを検証する。 - 毎週3分、情シスドリル コレ1枚で分かる「人工知能」
銀行で活躍するIBMのWatsonや、奇怪な絵を出力して楽しませてくれるGoogleのDeepDreamなど、人工知能(AI)は身近な存在になりつつある。ビジネス分野での活用が本格化する前に、人工知能の基本をおさらいしておこう。 - みずほ銀行のコールセンターがIBMの“人工知能”を導入する理由
IBMのスーパーコンピュータ「Watson」をビジネスに活用する動きが日本でも始まっている。みずほ銀行がコールセンターにWatsonを活用した新システムを構築することを発表したが、そのメリットと狙いはどこにあるのか。 - IBMの「Watson」が“作った”料理はうまいのか? 実際に食べてみた
IBMのスーパーコンピュータ「Watson」で未知のレシピを考案する「Chef Watson」アプリをご存じだろうか。Chef Watsonが提案したレシピで一流シェフが料理を作るというイベントがIBMで行われた。本当においしい料理になるのか、食べてみた。 - 水道管の水漏れ、“センサー×ビッグデータ”で早期発見 NECが実証実験
上水道管の漏水、センサーとクラウドの活用で早期発見へ――。NECが米テキサスの水道局と共同で実証実験を実施。有効性を確認した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.