「Windows 10の初速に大満足」 Microsoft幹部が成果を強調
1カ月で約7500万のアップグレードが行われたことについて、Windowsブランド&製品マーケティング担当ゼネラルマネージャーのジェリミー・コースト氏は「2〜3年で10億台に広げる目標への大きな成功になった」と述べた。
米MicrosoftのWindowsブランド&製品マーケティング担当ゼネラルマネージャーのジェリミー・コースト氏は9月3日、都内で開催中の日本マイクロソフトのカンファレス「FEST 2015」で記者会見に応じ、7月29日からアップグレードが開始されたWindows 10について「初速としては大きな成功だ」とコメントした。企業での導入拡大に自信を見せた。
最新状態のWindows 7/8.1を対象とするWindows 10への無償アップグレードは7月29日にスタートし、最初の24時間で1400万台、4週間で7500万台がアップグレードした。同社は2〜3年後に10億台の端末での稼働を目標にしており、コースト氏は「その目標に向けて順調なスタートを切ることができ、大成功だ」と述べた。
一方で調査機関などによれば、企業のWindows 10の導入意向はまだあまり高くはない状況だ。
コースト氏は8月1日にリリースしたEnterprise エディションについて、「既に数百社が導入検証に着手している。顧客企業のCIOに聞くと、組織体制や導入端末の状況に応じて様々な運用形態を考えているようだ」と説明。同日の基調講演でコースト氏は、セブン&アイ・ワイホールディングスがWindows 10搭載のSurface 3(LTE対応モデル)を200台先行導入したことを明らかにした。大和ハウス工業とベネッセホールディングスもWindows 10の導入予定を表明している。
Windows 10に対する企業の懸念は、特にWindows UpdateなどによるアップデートがWindows 8.1までの「月例」を基本とする方法とは異なる点に根強くある。Windows 10では原則として随時アップデートが行われ、業務アプリケーションへの影響を十分に検証できなかったり、アップデートによるトラブルへの対応が煩雑化したりすることへの懸念が目立つ。
同社はWindows 10のWindows Updateで更新プログラムの提供時期に応じた「Insider Preview」(開発者向け)「Current Branch」(CB)「Current Branch for Business」(CBB)という3つのブランチ(グループ)を設定し、SA契約のユーザー向けにはセキュリティパッチのみを配信する「Long Term Servicing Branch」(LTSB)も設定する。
日本マイクロソフトの三上智子Windows本部長は、「国内では更新に慎重な企業が多いと想定したが、意外にもLTSBを採用する企業は1割ほどしかなく、9割以上がCBやCBBの採用を検討している。新しいWindows Updateへの抵抗感は少ないようだ」とコメント。コースト氏は「既にあるWindowsアプリケーションとの互換性を確保するために多くのリソースを割いてWindows 10を開発しており、いずれのブランチを採用してもユーザー企業がキャッチアップできるように最大限努めていく」と話す。
また、Windows 10ではサポート期限が明示されず、「未完のOS」「最後のWindows」とも呼ばれる。これも新しいWindows Updateと同様に、新機能などのリリースを随時行って方式に変更したことによるもの。「長期的にこの方法で行くのかは言及できないが、少なくとも改善と機能強化が図られ続けていく」(コースト氏)という。
この他にコースト氏は、日本でWindows 10 スマートフォンによる市場の再開拓に挑むことも表明。また、IBMやCisco Systemsとの協業を通じて法人市場でiOS製品の攻勢をかけるAppleについては、「ライバルだと認識しているが、Windowsには強力なエコシステムがある。Windows 10によって、これまで以上に優れた生産性や安全性をユーザーに提供していけるだろう」と、Windowsの優位性を強調した。
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