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マイクロソフトが語る「クラウド事業の勝負どころ」Weekly Memo(2/2 ページ)

日本マイクロソフトが先週、最大規模の新プライベートイベントを開催した。その中から同社が今、最も注力するクラウド事業の勝負どころについて筆者なりに考察してみたい。

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三位一体のパートナーエコシステム構築へ

photo 記者会見に臨む日本マイクロソフトの高橋明宏執行役常務

 以上のように、平野氏は「もうかる」ことを強調したうえで、マイクロソフトによるパートナー支援として、「クラウド事業の立ち上げ支援」「販売から利用価値重視へ」といった施策を説明した。

 「クラウド事業の立ち上げ支援」として注目されるのは、「Cloud Solution Provider(CSP)」という施策のさらなる推進だ。CSPは米国本社が2014年7月から実施しているパートナープログラムで、マイクロソフトのクラウドサービスにパートナーが独自の製品やサービスを付加してユーザー企業に提供するというビジネスモデルである。日本マイクロソフトも今春から本格的に取り組んでいる。

 このCSPについては、2015年3月2日掲載の本コラム「Microsoftが仕掛けるクラウドパートナー戦略の勘所」で詳細に解説しているので参照いただきたい。

 また、「販売から利用価値重視へ」という点では、新たなインセンティブの仕組みを明らかにした。具体的には、これまでのクラウドサービスの契約における「販売量」に加えて、契約したサービスが継続して利用されているかどうかを示す「使用量」もインセンティブの対象とした。「継続して使用されていることに利用価値がある」(平野氏)というのが、新たなインセンティブの仕組みにした理由である。

 これまで取り上げてきた「もうかる」ことやCSPの展開、新たなインセンティブの採用は、まさにマイクロソフトがクラウド事業の勝負どころとして、今回のイベントで掲げた点だと筆者は見る。つまりは、「パートナーエコシステムの拡充」がポイントだ。

 さらに、そのパートナーエコシステムの拡充という観点から、上記の取り組みにも増して、マイクロソフトがクラウド事業の勝負どころと捉えている動きが、今回のイベントで見て取れた。それは、冒頭で説明したように、今回のイベントをパートナー企業、ユーザー企業、技術者に向けて統合した形にした、まさにその理由にある。高橋氏がその理由について、次のように語った。

 「マイクロソフトは、お客様であるユーザー企業や技術者の方々も、クラウド事業におけるパートナーエコシステムのパートナーであると捉えている。言い換えると、パートナー企業、ユーザー企業、技術者が三位一体となったパートナーエコシステムこそが、マイクロソフトのクラウドサービスの最大の強みになると確信している」

 さらに言い換えると、三位一体のパートナーエコシステムを築き上げることが、マイクロソフトのクラウド事業の最大の勝負どころといえよう。今回のイベントには、そのメッセージが込められ

ていたのである。同社がその三位一体ぶりを今後どのように拡充していくか、注目しておきたい。


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