GEにみるIoTとビッグデータ連携でのOSS利用と国際協調:ビッグデータ利活用と問題解決のいま(1/3 ページ)
モノのインターネット(IoT)の普及拡大とともに、企業の産業システムがオープンソースソフトウェアとデータを連携する場面が増えてくる。ビッグデータ/IoT連携を推進するグローバル企業は、どのように対応しているのだろうか。
IoTを支えるGEの「オフラインファースト」
前回の記事では、米General Electric(GE)の、インダストリアル・インターネット向けクラウド型PaaSの「Predix Cloud」を取り上げた。
運輸やエネルギー、医療などの産業機器が利用される業務現場を見ると、遠隔地でネットワークに接続できなかったり、不安定であったりする場所が多い。GEの場合、産業機器ビジネスにおけるサービス収入の比率が高いことから、オフライン環境でも業務フローに支障が出ないよう制御システムの設計・開発から運用・保全に至るまでのライフサイクル管理を継続的に回す必要がある。
「Predix Cloud」を所管するGE Softwareは、各産業機器事業ユニット向けのシェアードサービスとしてPaaS型モデルを提供し、その上で個別分野に対応したビッグデータ向けインフラやソフトウェアの構築・運用を行っている。
例えば、鉄道・運輸分野の事業を担うGE Transportationでは鉄道車両の運用・維持管理を担うフィールドエンジニア向けに、Predix上でドキュメント指向型(JSON形式)のNoSQLデータベース「Couchbase」を利用したモバイル管理アプリケーションシステムを導入している(関連情報)。初期導入フェーズにおけるシステムの特徴は、下記の通りだ。
- カード型UIによるアプリケーションの構築
- 基本的なオフライン機能の構築
- Rabbit MQを利用したメッセージバス
- JSONオブジェクトモデル
- クライアント組み込み型オフライン機能
- モジュラー型バックエンド ドメイン統合サービス
- iPad対応
GEは、Predixの社内導入に際してオフラインを起点とし、徐々にオンラインへと拡張しながら、業務プロセスの改善や予防保全対策の強化を図る「オフラインファースト」のアプローチを採用した。具体的には、下記のような要件を挙げている。
- 「モバイルファースト」でスタートする
- 接続性に課題があることを受け入れる
- エンタープライズアプリケーションを既存システムと同期させる必要がある
- デバイス上のデータをセキュアにする必要があり、オフラインのログインが要件である
- オフライン作業の準備をする
- オフライン機能をサポートするためのインタフェースに、UX/インタラクションデザインを設計する必要がある
本連載の第18回記事で取り上げたように、NoSQLは非構造化データのリアルタイム処理に強みを発揮するオープンソース由来のデータベースである。
GE Transportationのフィールドエンジニアが利用するモバイルデバイスには、オフライン環境でも利用可能な組み込みNoSQLデータベースの「Couchbase Lite」がインストールされている。オンラインになると、サーバ側のNoSQLデータベース「Couchbase Server」とゲートウェイの「Sync Gateway」を介して同期する仕組みだ。なお、Couchbase ServerとHadoopの間には、データ処理方法に関する互換性・一貫性があり、NoSQLとHadoopを連携させたMapReduceによる大規模なクエリ処理も実現できる。
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