インターネットにつながる車がハッキングされて遠隔操作される危険性が指摘される中、フォレンジック工学を専門とするコンサルティング会社の米PT&C Forensic Consulting Servicesが、「ハッキングされやすい車」と「されにくい車」のランキングをまとめた。
車のハッキング問題では、Fiat Chrysler Automobiles(FCA)の「Jeep Cherokee」を走行中に無線で遠隔操作する実験リポートが7月に公開され、同社が米国で同社のリコールに踏み切っている。
PT&Cでは現代の車について、情報娯楽や運転、安全対策など中核をなす機能についてITへの依存を強める傾向にあり、車のシステムには20〜70ものコンピュータが利用されていると指摘する。特に、ほとんどの機能がネットワークで接続され、無線やWi-Fiネットワークが車両の物理コンポーネントと接続できる車ほど危険性が高いと分析した。
同社がその分析に基づいてまとめたランキングでは、遠隔操作実験が公開されたJeep Cherokee(2014年モデル)を、ハッキングされやすい車の筆頭にランクした。次いで日産の「Infiniti Q50」(2014年モデル)、General Motors(GM)の「Cadillac Escalade」(2015年モデル)、トヨタ自動車の「Prius」(2014/2010年モデル)、Fordの「Fusion」(2014年モデル)を挙げている。
一方、「ハッキングされにくい車」は、コンピュータ化・ネットワーク化された部品が少なく、ネットワークがドアロックやパワステ、サンルーフといった物理コンポーネントと通信できない車と定義。Volkswagenの「Audi A8」、Chryslerの「Dodge Viper」、ホンダの「Accord」(いずれも2014年モデル)、および「Tesla Model S」が選ばれた。
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