企業や組織でオンプレミス、パブリック/プライベートクラウドなど異なるIT環境が幅広く利用されるようになったが、それぞれのIT環境を個別に運用管理しなければならないといった新たな難しさも生じている。広島大学が9月1日に運用を開始した新たな全学IT基盤「電子計算機システム」では、異なるIT環境を一元的に運用管理できるようにした点が特徴だ。
広大の電子計算機システムは、日立製作所が構築を手掛け、同社のデータセンター内に設置される。広大は日立のクラウドサービスとしてシステムを利用する。ここでは日立が2014年8月に発表した「フェデレーテッドクラウド」という複数のクラウド環境を効率的に利用するコンセプトが採用され、広大のシステムがこのコンセプトに基づく初めての構築事例になる。
複数クラウドの運用管理では「フェデレーテッドポータルサービス」「フェデレーテッドクラウド監視サービス」の2つのサービスが中心的に役割を果たす。フェデレーテッドポータルサービスは、日立のクラウドと同社パートナーのクラウドサービスのリソースを一元的に操作・管理するためのWebポータル機能。フェデレーテッドクラウド監視サービスは複数のクラウド環境を一元的に監視できるサービスとなっている。
広大では文部科学省の「アカデミッククラウドに関する検討会」などに参画したり、「学術情報ネットワーク」(SINET)などと学外システムを連携させたりすることを検討しており、複数のクラウド環境を効率的に利活用する取り組みを進めきたという。
新たな電子計算機システムは、日立のクラウド環境や他社クラウド、学内の仮想化基盤と連携しながら、用途に応じた使い分けが容易になる。例えば、アクセス集中が発生する学内基幹システムを日立のクラウドで運用しながら、実証実験時などには他社のクラウドサービスを必要に合わせて使っていく。
新システムは学術認証連携基盤「学認」(GakuNin)とも連携し、他大学のシステムと接続したり、データを共有したりできるようにもなっているという。
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