なぜ、IoTはビジネスを“一変させる”のか?:企業が取るべき対策を解説(3/3 ページ)
インターネットに接続されるデバイスは増え続けており、さまざまな企業が自社のビジネスをどうIoTに対応させるか、対策を迫られている。シスコでIoT関連のコンサルティングを手掛ける八子氏によると、ビジネスにIoTを適用するための考え方やフレームワークがあるという。
競争から“共創”への意識改革が大切に
プランの最適化という点でIoTは非常に有効なアプローチとなる。あらゆるデータを集めることで、工場の生産工程や物流、空港などミッションクリティカルなモノや設備をデジタル上で再現可能になり(サイバーフィジカルシステム)、容易にシミュレーションが行えるためだ。現実とサイバー空間が双子のような関係になるため、八子氏はこのコンセプトを“Digital Twin”と説明した。
しかしこのDigital Twinや事業ドメインの拡大は、1社だけで実現するのは非常に難しい。その理由として、八子氏は「データは見えてない部分こそが重要」だからだと話す。
「データの見える化や、今把握しているデータを分析しているだけでは大きな示唆は得られません。自社でこれまで把握できていないデータまで含めて分析できれば、新たな関係が見つかったり、ビジネスのきっかけが見えてくることが多いものです。公的機関が出しているデータや、場合によっては他の会社が持っているデータを使う必要があるかもしれません」(八子氏)
そのために必要となる考え方が「共創」だという。異業種の企業がそれぞれのソリューションやデータを持ち寄り、それらをつなげることで新たな価値を創出するという考え方が、IoT時代に企業が生き残る上で大切だと八子氏は話す。
「書籍からスタートして流通市場を変えたアマゾン、一般の消費者をタクシードライバーに変えたUBERなど、ITの活用で成功しているグローバル企業は皆、当該ビジネス領域の資産を持っていません。では彼らが持っているのは何か、それは“データ”です。
需要のニーズをITで把握し、供給側をOT(Operational Technology=運用制御技術)で制御するためにIoTを使う。それには1社だけ、1つのデータソースでは難しいでしょう。座組みを作り企業を越えた連携を作る。とにかく早く始めないとデータはたまりません。もうかるか分かってからではもう遅い。企業がビジネスのデジタル化に失敗すれば、市場からの撤退を余儀なくされるのですから」(八子氏)
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