Wintelの再来? マイクロソフトとインテルのIoT戦略:Weekly Memo(2/2 ページ)
マイクロソフトとインテルが相次いでIoT事業戦略を明らかにした。両社とも「プラットフォーム」を抑えるのが狙いだ。かつてPC市場で築いた“Wintel”時代の再来なるか?
IoTを「人間の生命を守るテクノロジーに」
一方、インテルは都内ホテルで開いた「Intel IoT Asia 2015」の基調講演で、米Intel IoT事業本部副社長兼IoT戦略・テクノロジーオフィス本部長のローズ・スクーラー氏が、同社のIoT事業戦略について次のように語った。
「IoTを活用するためには、オープンかつセキュアで拡張性や管理性に優れたプラットフォームが不可欠だ。当社はそうしたプラットフォームの実現に向け、リファレンスアーキテクチャを提示し、必要な製品を提供していく」
図2に示したのが、インテルIoTプラットフォームの概要である。同社は1年前にこの第一弾となるリファレンスアーキテクチャを発表しており、今回はいわば“バージョン2”となる。図にあるように、IoTに関わるモノにもネットワークにもクラウドにもインテル製品が組み込まれており、これらを連携させればまさしく共通プラットフォームを形成することができるというのが、同社の基本的なIoT事業戦略と見て取れる。
インテルでは今回、IoTプラットフォームのリファレンスアーキテクチャの強化とともに、モノ向けの低消費電力プロセッサや、モノに近いエッジ向けのマイクロコントローラなどの新製品も発表した。とはいえ、インテルもマイクロソフトと同様、プラットフォームを抑えることに注力しているのは、スクーラー氏の発言からも明らかである。
さらに、両社が共通して強く訴えていたのは、パートナーエコシステムの拡充だ。IoTはあらゆる分野に関わるだけに当然のことだろう。
では、IoT市場でもWintel時代が到来することはあり得るのか。パートナーエコシステムの重要性を熟知している両社だけに、プラットフォームを融合させることによって一大勢力になるようならば、“Wintel 2.0”を目指すのはあり得るかもしれない。
ただ、マイクロソフトのUWPは他のプロセッサも対象にしている一方、インテルはクラウド基盤として「SAP HANA Cloud Platform」との連携を強めており、今のところWintel 2.0に踏み出す兆しはなさそうだ。
最後に、インテルのスクーラー氏が講演の締めくくりに印象深いメッセージを発していたので記しておきたい。
「IoTはさまざまなビジネスチャンスを生み出すとともに、地球の環境や資源を守り、ひいては人間の生命を守るテクノロジーになり得る。それをぜひ追求したい」
IoTベンダーといわれる企業には、ぜひこの見識を持ってもらいたいものである。
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